前回の記事「説得力の正体は、センスでもなければ頭の回転の速さでもなかった件について」では、説得力とはズバリ、多角的な観点の事実によって結論が支えられているかどうかだとお伝えしました。
要するに、情報(事実、ネタ)を収集した量が肝!ということですね。
では、
・どうしたら楽しみながら事実(話のネタ)を集められるの・普段からどのような事を心がけると良いのか
今回は、上記についてお伝えしたいと思います。
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目次
どうしたら、楽しみながら情報収集できるか?
仕事関連での情報収集と聞くと、ぶっちゃけ「仕事のために仕方なくやっている」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分が好きな内容なら全く苦ではないのですが、そうではない場合、情報を見てもあまり頭に入ってこないことも多いですよね。
一体どうしたら良いか。その疑問に答えるために、今回は弊社コミュトレにて約20年間講師経験を積んできたS氏に秘訣を聞きました。
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秘訣1:「情報収集をしよう」よりも「興味」を持つ
冬木:Sさんはいつも話に説得力があるなと個人的に思うのですが、どうやって情報収集をしていますか?
S氏:ありがとう(笑)実は、僕は「情報収集をしよう」と思ってしたことってあまりないんです。
ただ、普段から心がけていることとしては、「業務に関連するいろんなことに対して興味関心を持つ」ということですね。興味関心を持つと調べたくなるんです。
冬木:あ~…「興味を持て」とはよく言われますが、それが一番難しいとも聞きますよね…。例えば、どんな感じに興味関心を持っているんでしょうか?
S氏:例えば、以前部内でサービス改善活動の一環として、全コミュトレスタッフ向けに「お客様と接していて感じたこと、気づいたこと」を書いてもらう『web目安箱』を設置したことがありましたよね。
そのときに、ふと思ったんですね。なんでそもそも『目安箱』っていうのかと。
で、その他にも「どんな効果があるのか?目安箱を設置するデメリットがあるのか」とか、「他の企業ではどう使っているのか」といったように、いろいろ考えて調べてみたんですね。
そしたら面白いことに、もともと目安箱というのは「発言に責任をもつ」という考え方をもとに運用されていることがわかったんです。だから、匿名ではなく個人名と所属先をしっかり書くんですよね。それを見て「うちの会社ではどういう考え方で運用すべきか」といった、一歩踏み込んだ発想が出てきたんです。
冬木:なるほど。「なんでだろう?」という問いをもって情報に触れるということですね。
S氏:そう。何かを見たときに「なんでこうなっているんだろう」とか「もしかしたら、他の事柄にも共通していえるんじゃないかな」と思うと、自然といろいろ調べたくなるんじゃないかと思います。
その繰り返しによって、話のネタが自然と蓄積されてきた感じですね。
冬木:情報収集しようという力みがそもそもあまりよろしくないということですね。そうではなく、単純に問いをもつ、と。それならなんか出来そうですね。
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秘訣2:情報を覚えようとするのではなく、「へえ!」と感心する
冬木:それだけ情報を多く収集していると、肝心なときにネタが出てこないこともあるのではないでしょうか…。説得力のある人って、よくよく話を聴くと、固有名詞や数字、時系列をしっかり記憶しているように見えます。どうやったらそういう情報を覚えられますか?
S氏:実は、僕は意図的に「覚えよう」と思ってないんですよね。
冬木:なんと!どんな素晴らしい記憶力をお持ちなんですか…!
S氏:記憶力ではなく、感受性の問題かと。僕の場合は、情報を「アタマで覚える」んじゃなくて「カラダで覚える」という感覚なんです。頑張って暗記するのではなくて、その情報を知ったときの「へえ、すごい!」という衝撃とか印象という、いわば心が揺さぶられた内容をしっかり覚えている感じですね。
冬木:言われてみれば確かに。映画を見ていても、感動して思わず涙が流れたシーンとかは、時間が経ってもよく覚えてますよね。脳科学でも「偏桃体(感情を司る器官)が強く刺激された経験は記憶に残りやすい」と言われますし。
S氏:だから、どれだけ日常生活の中で「へえ!」と思えるかどうかという、いわば感受性の高さが大事かと思います。
冬木:つまり、話すネタが多かったりいろんな事例を知っている人は、人よりも特別な経験をしているのではなく、ありふれた日常の中で感じ取るものが人よりも多いというわけですね。
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秘訣3:日常生活の中で「問い」もつ
S氏:そう。そのためにも、日常生活をただ漫然と過ごすのではなく、さっき言ったように自分なりの問いをもつことが大事かなと思います。
たとえば、うちの娘がまだ赤ちゃんだったころ、近所の公園に連れて行ったことがあったんです。そのときに、同世代くらいの子供が数人いて、お母さんの言葉に反応しながらキャッキャ笑っていたんですね。
僕は彼らの楽しそうな笑顔を見ながらふと思ったんです。「1度も笑っていない無表情の赤ちゃんっているのかな」と。言葉が使えない赤ちゃんは、表情とか声といったノンバーバル(非言語)コミュニケーションしか使えない。だから、自分の感情をお母さんに伝えるために、どんな赤ちゃんであれ、嬉しい感情のときは思いっきり笑顔をつくるんじゃないかなと。
ここで、大人も同じことがいえるんじゃないかなと思ったんです。
たまに「私は昔からずっと無表情なんです。」という方がいらっしゃるけれども、その方は生まれた瞬間からずっと表情が硬かったわけじゃない。ただ、成長する過程で、表情に頼らなくても、自分の気持ちを伝えられるようになった。だから、表情を使わなくなった。
つまり、今表情が硬い人は、センスとか才能がないんじゃなくて、ただ使ってこなかっただけだと。
こういう自分なりに考えた過程って、案外忘れないんですよね。で、お客さんとの会話の中でも自然と思い浮かぶので、エピソードを交えて話したら『なるほど』とすごく納得してくれて。
冬木:確かに。たしかに、説得力のある話とか面白い話って、具体的なストーリーがしっかり盛り込まれていることが多いのですが、それは頑張って覚えたんじゃなくて、経験しながら自分なりに考えを展開していた結果だったんですね。
S氏:僕の場合はそうですね。
冬木:そういう頭の使い方をしながら日々過ごすと、何をやっていてもそこから「なるほど」と思える気づきを得られそう。そういえばあの落合陽一さんも「アンパンマンとジャムおじさんの顔が一緒だと気付いてからの人生が変わった話」という記事を出していましたね。
彼は、ただ単にぼーっと観るのではなく、「アンパンマンとジャムおじさんの顔が同じ」という事実に対して「なんでだろう」という問いを投げかけ、考えながら観ていますよね。そしてその結果、彼なりの鋭い気づきが生まれている。
S氏:子育てとか、料理とか、あるいは同僚との雑談とか、そういう何気ない日常の中から「これって実は仕事や人生にも言えることだなあ」と思うことが多いんですが、そうすると、ちょっと面白く感じてくるんですよね。
冬木:何気ない日常生活が、実は仕事につながっているなんて思いもしませんでした。
秘訣4:常に「人に話すためのネタ」を探す
冬木:ちなみに、そもそも、どうしてそのような問いが生まれるんでしょうか?
S氏:そういえば常に「ネタに出来ないかな」という、いわばネタ探しの発想をしていますね。
冬木:ほう。Sさんは、人に話すことを前提で情報や経験に触れているんですね。
S氏:そう。僕の仕事は、お客さんや社内の人に対して、何かしら相手に納得して動いてもらうことだから、人に伝えるというアクションが必ず発生するんですよね。
だから、常に「これは朝礼スピーチに使えるかもしれない」「これはトレーニングでお客さんに話せそうだな」っていうふうに考えていたりします。
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まとめ:何気ない日常生活を楽しめると、説得力が上がる
説得力を高めるためには、普段から事例を多角的に収集することが重要です。
そのためには、以下がポイントになります。
秘訣1.情報収集をしようとするのではなく、「なんでだろう」「他にも言えるのでは?」と興味をもつ
秘訣2.情報を覚えるのではなく、「へえ!そうなんだ!」と感心する
秘訣3.日常生活の中でふとした問いをもつ
秘訣4.人に話すことを前提にネタ探しする
いずれも、日常生活の中で自然と習慣化していくものですね。
ありふれた日常生活から様々な気づきを得て楽しめるようになると、なんと説得力までおのずと高まってしまうのです。
一石二鳥ですね^^
ぜひ、みなさんも日常生活のなかで習慣化してみてくださいね!
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