コミュトレでも「会社の朝礼スピーチが憂鬱なんです…」というご相談をよく聴きます。私も、定期的に朝礼スピーチを担当するのですが、新人のころは「どんなネタで話せばいいか分からない」「伝えたいことがまとまらない」と、朝礼スピーチにかなり苦手意識をもっていました。
そういうときに、私がついやってしまいがちだったのが「ネタ探し」。
特に、朝礼前は「朝礼 ネタ集」で以下のようなネタを必死で検索し、出てきた事例を暗記してスピーチに臨んでいました。
結果はどうだったか?
…散々でした(涙)
「君の言葉で伝えていないから、あまり響かない」
「印象に残らない」
とズタボロの評価でした。
一方で、社内ではベテラン・新人問わず「つい聞き入ってしまう」「ためになる」という朝礼スピーチをする人もいました。
彼らを観察しているうちに、以下3つのコツを共通して押さえていることに気づきました。
そのコツはずばり、以下の通りです。
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この記事では、聴き手を惹きつける朝礼スピーチを行うための本質的な対策について解説していきます。
魅力的な朝礼スピーチをする能力は、一度身につければ一生もの。あなたの社内での評判は間違いなく良くなります。
是非この記事をきっかけに、朝礼スピーチ能力を磨いていきましょう!
目次
朝礼スピーチのコツ①:仕事や自己成長につながる気づきをネタにする
仕事や自己成長につながる気づきとは、端的に言うと、あらゆる経験を、成長のヒントにすることです。
聞きかじったネタではなく、自分の頭を使って学びに変換した内容をネタにしましょう。
スピーチの一例を示します。
「普段はあまり話す機会のない他部門の人と、先日一緒にランチをしました。その時に、自分からすれば当たり前だと思っていることも、彼らからみると意外だったり謎だったりすることがわかり、とても新鮮でした。と同時に、ずっと自部門だけに閉じこもっていると、知らない間に視野が狭まると感じました。このことから、自分の視野を広げるためには、普段は会わない人と積極的にコミュニケーションをとり、さまざまな価値観に意図的に触れることが非常に重要だと感じました。」
イメージはわきましたか?
この事例では、「他部門の社員と話して感じたこと」と「視野を広げるコツ」を結び付けました。このようにすると、聞き手としても「なるほど、それが大事なのか」と勉強になりますよね。
朝礼スピーチのネタに困ると、以前の私のように「朝礼スピーチ ネタ」で検索して出てきた定番の事例を使おうとするのですが、それでは全く相手の心に響きません。
なぜかというと、朝礼スピーチの目的にそぐわないからです。
会社で行われる朝礼スピーチとは、聞き手(社員)がもっと仕事を頑張ろうと思えるように動機づけしたり、仕事をするうえで大切にすべき考え方を全員で再確認したりする場だからです。
したがって、朝礼スピーチでは単に事例を述べるだけではなく、「だからこそ、自分の仕事にこう生かしていきたい」「さらに成長するために、取り入れていきたい」といったように、仕事や自己成長につなげたネタを使いましょう。
朝礼スピーチのコツ②:「この仕事をより良くするには?」を常に考える
コツ1で「あらゆる経験を、成長のヒントにする」とお伝えしました。
学びを得るには、どんな仕事をするときも「本当にこのやり方でよいのか?」「どうすればよりよい結果を得られるか」「どうすれば自分が成長するか」といったような、いわば改良・改善に対するアンテナを高く立てておきましょう。そうすると、言葉や行動が180度変わります。
お客様への電話業務を例に挙げて、Aさん・Bさんの2者を比べてみましょう。
マニュアル通りにこなすAさん「先日注文された商品ですが、入荷しました。店頭受け取りを希望されているので、近日中に店舗までお越しください。」
マニュアルに+αの工夫をするBさん「先日注文された商品ですが、入荷しました。店頭受け取りを希望されているのですが、ご自宅配送でなく引き続き店頭受け取りでよろしいですか?…あ、自宅配送ですね。かしこまりました。本日配送しますので、明日明後日にはお手元に届くかと思います。楽しみにお待ちください!」
いかがでしょうか?
Aさんの対応はどこか機械的に感じませんでしたか。間違ったことは言っていませんが、マニュアル以外のことは触れないというスタンスで仕事しており、思考停止していますよね。
一方でBさんは「ほんとうに店頭受け取りでよいのかな?お客様にとってベストな方法で届けるには、一度確認した方がよいのでは?」「こういう言葉をかけると喜んでもらえるのでは?」と、自分の頭で一度考えていますよね。それにより、下線部のようにお客さんに合わせて言い方を工夫しています。
一見するとスピーチと無関係の話に思えますが、実はこの仕事に対する姿勢で、スピーチの質はほぼ決まるのです。
少々手厳しい意見かもしれませんが、今回のAさんのように言われたことだけを粛々とこなす姿勢で仕事をしている人は、どんなに長く勤務していても、深みのある魅力的なスピーチができるようになることは、おそらくないでしょう。
逆に、Bさんのように自ら能動的に考える姿勢で仕事をする人は、その人自身の言葉で語られた魅力的なスピーチをすることができるでしょう。
この違いは、頭の良し悪しではなく、「より良い方法があるのではないか」という問題意識をもって仕事に向かっているかどうかの違いです。
今回のケースでは結果は一目瞭然ですよね。
スピーチの質は「結論の奇抜さ」や「話の上手さ」で決まるのではありません。
示唆や気づきを得られる、深みのあるスピーチというのは、結論に至るまでの筋道に、その人ならではの経験を通じて得た気づきや示唆が必ず存在します。
だからこそ、話し方の練習やネタ作り以上に、
普段からどういった姿勢で仕事をしているか?
この要素があなた自身の言葉の威力を決定づけます。
仕事に慣れてくると、ややもすると「さばく」という意識になってしまう方も多いと思います。しかし、ひとつひとつの業務を「どうすればより良くできるか?」と考えてみると、新入社員であっても、その人ならではの深みのある朝礼スピーチができるようになります。
仕事との向き合い方については、こちらの記事も併せてご覧ください。
朝礼スピーチのコツ③:借り物ではなく、自分自身の言葉で語る
仕事や自己成長につながる気づきを語るとき、その内容が本質的であればあるほど「当たり前の主張」になるのはよくあることです。「コツコツ継続が大事」とか「ポジティブに考えよう」とかいうものですね。
当たり前の結論が出てくると、私たちはこう考えてしまいます。
「もっとカッコイイことを言いたい!」「もっと鋭いことを言いたい!」
はい、今すぐその思考を捨てましょう!
背伸びせずに、あなたの本心本音から生まれる言葉で勝負しましょう。
私が以前朝礼スピーチの準備で苦労していたとき、「自分は当たり前のことしか話せない。それだと聞き手にとっては面白くないんじゃないか」とすごく悩んでいました。
朝礼スピーチにややトラウマをもっていた私は、ある日思い切って上司に相談してみました。その上司は社内で最もスピーチが上手で、絶妙なユーモアを交えつつ非常にためになる話を毎回話す方でした。
そんな彼から教わった秘訣はたった1つ。
「俺はいつも等身大で話しているよ。借りてきた言葉ではなく、自分が本音で思っている話が一番心に刺さるからね」と。
そうか!と目からうろこが落ちたのを、今でも鮮明に覚えています。
ジョブズに学ぶ、心をつかむスピーチの極意
世の中を見渡してみると、ビジネス界で成功している人のスピーチは、「当たり前のこと」がテーマになっていることがよくありますよね。たとえば、世界屈指のスピーチ名人と謳われる故スティーブジョブス。彼が2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチは大変有名です。
そんな彼のメッセージの一つが
今やっていることがいずれ人生のどこかでつながって役立つと信じて、一生懸命目の前のことを頑張ろう
です。これだけ聞くと、なんだかとても当たり前のことのように聞こえますよね。
しかし、こんなストーリーが添えられていたらどうでしょうか。
自分の興味の赴くままに潜り込んだ講義で得た知識は、のちにかけがえがないものになりました。
たとえば、リード大では当時、全米でおそらくもっとも優れたカリグラフの講義を受けることができました。キャンパス中に貼られているポスターや棚のラベルは手書きの美しいカリグラフで彩られていたのです。(略)
もちろん当時は、これがいずれ何かの役に立つとは考えもしなかった。ところが10年後、最初のマッキントッシュを設計していたとき、カリグラフの知識が急によみがえってきたのです。そして、その知識をすべて、マックに注ぎ込みました。美しいフォントを持つ最初のコンピューターの誕生です。
(略)
もちろん、当時は先々のために点と点をつなげる意識などありませんでした。しかし、いまふり返ると、将来役立つことを大学でしっかり学んでいたわけです。
繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。(略)だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。
(出典:日経新聞社 WEBサイト)
このような「ジョブズ氏にしか語れない自身のストーリー」が背後にあると、当たり前だと思っていた結論が、深みのあるメッセージに聞こえてきませんか。だからこそジョブズ氏は、聴き手の心をつかめたわけですよね。
あなたの心で感じたものこそ、最高のネタである
⇒人よりも深みのある話ができるようになる!仕事の面白さを発見できる”コミュトレ”とは?まずは無料カウンセリングへ
朝礼スピーチではかっこいいことを言わなくていいんです。むしろ、あなた自身の目で見て耳で聞いて、心で感じたものを語りましょう。
それは、人によってはとても勇気が要るチャレンジかもしれません。人の胸をうつ言葉を語るということはすなわち、心の中にしまっておきたい自分をさらけ出すことに他ならないからです。
しかし、そのような「恥ずかしいこと」「人に知られたくないこと」こそ、スピーチを魅力的にする要素です。先に紹介したスティーブジョブスのスピーチも、その大半は自分の失敗談です。
あなたにしか語れないことは、なんですか?
ぜひ恐れることなく、自分自身の言葉で語りましょう。
そのためにも、自分に自信をもてるような能力を日ごろから磨いていきましょう。
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おまけ①:【まだ間に合う!】明日から使える朝礼スピーチ例文
日頃から自分に自信をもてる能力を磨こう、といっても、
でも、私の朝礼スピーチ、明日なんだけどな…間に合わないよ…
という方もいるでしょう。
でも、あきらめなくて大丈夫です。
こちらの記事では、明日の朝礼からさっそく使える例文をご紹介しています。
ここに書いてある構成をそのまま真似していただければ、今まで以上に聴き手を引きこむことができるでしょう。
是非、真似してみてくださいね!
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おまけ②:それでもやっぱり、朝礼スピーチは緊張する?
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ここまでいろいろと、スピーチの中身についてお伝えしてきました。とはいっても、いざ人前に出ると緊張しますよね。
そこで、緊張を和らげるコツ・考え方をいかにまとめていますので、ぜひご覧ください!
あと、朝礼スピーチの構成づくりもここからどうぞ!
伝わるスピーチの話し方はこちらからどうぞ!
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まとめ:朝礼スピーチの追究は「働き方」の追究である
朝礼スピーチが苦手という方も多いと思います。うまく話そうと必死になるとついネタ探しを頑張りたくなりますが、以下3つの本質的な対策をとれば、その瞬間からあなたのスピーチは輝き始めます。
そう、これらはすべて「自分や仕事とどう向き合うか」というもの。いわば「働き方を問う」ものばかりなのです。
魅力的なスピーチを目指すということは、すなわち魅力的な働き方を追究するのと同じ。
ぜひ、自分の成長を楽しみながら朝礼スピーチを磨いていきましょう!
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