スピーチ・プレゼンで活用できるビジネススキル

【保存版】心をつかむ自己紹介の作り方

高木宏
 

こんにちは。

 

プレゼンの自己紹介で、皆さんはどんな内容の話をしていますでしょうか?

 

・手短に会社名・部署・名前だけを話す・30秒~1分ぐらいで簡単に考えておいた詳しい自己紹介をする

 

これらは、どちらも正解です。

前者は、聞き手が自分のことを知っている場合、後者は知らない場合に適しています。

つまり、ケースバイケースで使い分けが出来ていればOKです。

皆さんがプレゼンする機会は、どちらもあるのではないでしょうか。

前者の方は簡単ですので、今回は後者の詳しく自己紹介するときの方法を見ていきましょう!

 

■そもそも、なぜ自己紹介は大事なのか?

 

 

結論、自己紹介の印象がその後のプレゼンテーションの印象へと影響するからです。

 

例えば、仮にプレゼン内容が全く同じだとして、次の2人を比べるとどちらのプレゼンテーションが良い印象を与えると思いますか?

 

A:小さな声で自信がなさそうに自己紹介をした人B:大きな声で自信満々に自己紹介をした人

   

これは、明らかにBの人ですよね。

内容が同じならば、自己紹介を聞いて、最初に「元気があって自信満々だな!」と好印象を抱いた場合の方が、その後のプレゼンを良いものだと感じることでしょう。

 

ちなみに、皆さんは『初頭効果』という理論を聞いたことがあるでしょうか。

心理学の用語ですが、この効果からも自己紹介が大事だということがわかります。

 

 

『初頭効果』最初の情報が人の頭には残り、その後の評価に影響を及ぼすというものです。1946年に心理学者ソロモン・アッシュが、印象形成の実験において、情報を羅列して提示すると、提示の順序で異なる印象が形成されることから提唱しました。———————おおらか、正直、信用できる、用心深い、短気、嫉妬心が強い⇒ポジティブ嫉妬心が強い、短気、用心深い、信用できる、正直、おおらか⇒ネガティブ※内容は同じものであり、順番を変えているだけです。(実験では、英語のものを日本語に訳しています)———————なお、この反対の理論として『親近効果』(終末効果)というのもあります。初頭効果とは逆に、最後の情報が印象に残りやすいというものです。これは1976年にN・H・アンダーソン氏が模擬裁判を行い、証言の順番により印象が変わるかどうかを実験したことから提唱されました。

 

このように、心理学に関する理論を参考にして、プレゼンテーションを考えると、『最初の自己紹介』と『最後のまとめの部分』が聞き手に与える印象は大きくなり、大事だということがわかります。

 
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■コツ:プレゼンの「目的」と紐づく過去の経験(エピソード)を盛り込むこと

 

 

最も大事なことは、「プレゼンの「目的」と紐づく過去の経験(エピソード)を盛り込む」ということです。

分かりやすいように、実際に作るときの順番に沿って見ていきましょう!

 

<作成手順>① プレゼンを行う「目的」を明確にする② 「目的」に紐づく自分の過去の経験(エピソード)を振り返る③ 自分の実績や経歴などと過去の経験(エピソード)を組み合わせる

 

①プレゼンを行う「目的」を明確にする

 

まず重要なのは、いきなり自己紹介をどんなものにしようかな?と自己紹介から考え始めないようにしてください。

それをしてしまうと、自己紹介の内容が本題とズレていた場合に、その時間が聞き手にとっては無駄なものとなってしまいます。

 

最初は、プレゼンを行う「目的」を明確にしていきましょう。

目的というのは、そのプレゼンの本題で「何を伝えたいのか」ということです。

 

(例)・聴き手を楽しませたい・場を盛り上げたい・聴き手に行動を起こす気にさせたい

 

このように、プレゼンを行う「目的」を定めれば、自己紹介の方向性は自然と見えてきます。

 

(例)・聴き手を楽しませたい⇒聞き手がワクワクするような話題・場を盛り上げたい⇒聞き手が親近感を覚えるような話題・聴き手に行動を起こす気にさせたい⇒聞き手への影響力が大きい話題

 

②「目的」に紐づく自分の過去の経験(エピソード)を振り返る

 

次に、「目的」に紐づく自分の過去の経験(エピソード)を振り返って見つけましょう。

よく「自己紹介にはエピソードを盛り込みましょう!」という言葉をどこかで聴いたことはあるけれども、具体的なやり方がわからないという相談を受けます。

 

ここでいうエピソードは、自分の過去の経験です。

もちろん、自己紹介という短い時間で、経験の細かい内容を話す時間はありませんので、「どんな経験をしたのか」ということと、「そのときの心情」を思い出しましょう。

 

例えば、就職試験で自身のアピールポイントを、プレゼンするという場面を考えてみましょう。

プレゼンの「目的」は「ポジティブで熱い自分を表現したい」というものだったとします。

この場合は、自分の過去の経験を振り返る中で、「努力した経験」や「壁を乗り越えた経験」と、「そのときの熱意」や「そのときの前向きな気持ち」を思い出します。

 

このように、「目的」に紐づく自分の過去の経験(エピソード)を振り返って見つけておくと、自己紹介のネタとしては最高の準備ができます。

 

③自分の実績や経歴などと過去の経験(エピソード)を組み合わせる

 

最後は、過去の経験(エピソード)と自分の実績や経歴を組み合わせます。

プレゼンの「目的」にもよりますが、基本的には先に自分の実績や経歴を簡単に話し、その後に過去の経験(エピソード)に触れて、本題へと入っていくことが多いでしょう。

 

このとき、1つだけ注意点があります。それは、実績や経歴を伝えるときに自慢話のように語らないようにしましょう。

 

内容として、素晴らしい実績や経歴として聞こえるように整理するのは良いですが、それを自慢気に語る必要はありません。

背伸びをしすぎて、質疑応答で上手く答えられず、失態をさらしてしまっては本末転倒です。

 

皆さんが一生懸命取り組んできた経験はどれもみな、素晴らしいもののはずですので、等身大の自分を正々堂々と伝える自己紹介としましょう。

 

ここまで、詳しく話す場合の「自己紹介の作り方」を作成手順に沿って、具体的に見てきました。

 

このように、プレゼンの「目的」に紐づく過去の経験(エピソード)を盛り込むことができれば、聞き手の注意を惹きつけることも可能です。プレゼンテーション全体が1つストーリー(物語)となるように、自己紹介の作り方から工夫を凝らしていくようにしましょう!

 
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では、最後に実際の自己紹介例を見てみましょう。

 

———————–(例①)プレゼンの本題:『予防医学という観点からどういったことが健康寿命に近づくのか』<自己紹介>「皆さんこんにちは。私の名前は〇〇です。私は新卒から15年間医療の現場で、患者さんやそのご家族と看護師という立場で触れ合ってきました。当時の上司や同僚の支えもあり、○○という分野の国際的な学会でもお話させて頂く機会などがありました。仕事をし始めた時はただがむしゃらにやってやるぞという気持ちで仕事をしていましたが、15年の経験の中で病院での医療の限界や予防医学の重要性に気がつきました。それでは、本日は『予防医学という観点からどういったことが健康寿命に近づくのか』というテーマでお話させていただければと思います。」———————–

 

———————–(例②)プレゼンの本題:『流行の最先端といわれる渋谷で、新ブランドを立ち上げて生き残る秘訣』<自己紹介>「皆さんこんにちは!私の名前は○○です。私は、流行の最先端といわれる渋谷にて、自身のアパレルブランドを立ち上げてから10年が経ちました。沢山の方々に助けていただきながら、現在では20代前半の女性向けファッション雑誌で紙面特集されるほど、多くの方に手に取っていただけるブランドとなりました。ただ、そんな私もブランドを立ち上げて間もない頃は接客時に「この服は時代遅れだね」という声を耳にしていました。自分のブランドがそんな風に言われてしまうのは絶対に許せない、私が必ず何とかするからと息巻いて、その後数万人のお客様と直にお話をする接客の現場に立ち、本当に求められているものとは何かを考え続けてきました。それでは、本日は『流行の最先端といわれる渋谷で、新ブランドを立ち上げて生き残る秘訣』というテーマでお話させていただければと思います。———————–

 

■まとめ: 自己紹介は、自分の過去の経験(エピソード)を交えよう!

 

 

今回はプレゼンでの自己紹介についてお伝えしました。

 

再度作成の手順を確認していきましょう。

 

① プレゼンを行う「目的」を明確にする② 「目的」に紐づく自分の過去の経験(エピソード)を振り返る③ 自分の実績や経歴などと過去の経験(エピソード)を組み合わせる

 

いきなり自己紹介を作るのではなく、まずはプレゼンの「目的」から考えます。

何より大切なのは、その「目的」に紐づく皆さんの過去の経験(エピソード)です。

 

ここでのポイントは、「経験」と「そのときの心情」の2つを見つけておくことです。

それらを交えて、自分の実績や経歴を話すことで、聞き手を魅了する自己紹介ができます。

 

このように、しっかりと準備できれば、本番も安心ではないでしょうか。

あなたにしかできない自己紹介を作り、聴き手の心を掴んでいきましょう!

 
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1967年 東京都出身。 東京工科大学機械制御工学科在学中に、輸入商社のスタートアップに参加。 1996年 株式会社コミュニティネット入社。営業所長として、PCソフト及びBTOパソコンの販売、ISP、IP電話代理店など、新規事業を立ち上げる。 1999年 「日本を元気にする会社を創りたい」と株式会社アイソルートを設立(eラーニング製品の開発)。専務取締役として営業、開発、財務の各責任者を歴任。 2004年 同社代表取締役に就任。以降19年間連続黒字と最高売上高更新中。 2007年 新宿区優良企業表彰「経営革新賞」受賞。 2012年 日経トップリーダー「本当に強い中小企業ランキング」全国総合14位、IT業界2位に選出。 2024年 ダイヤモンド社から書籍『話せる、伝わる、結果が出る!コミュトレ』を発売し、紀伊國屋書店ビジネス書第1位、Amazonセールス営業本第1位を獲得。

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