ビジネススキル基礎

迷える30代の強い味方!ポストコロナ時代に『人を動かす能力』が自信と誇りを生むワケ

コミュトレ編集部

個別体験会を行っていると「ここ最近、急に自分に自信が持てなくなってきた」という30代の話をよく伺います。

 

以前も、ある30代前半の男性が、こんなことをおっしゃっていました。

「自分でいうのも変ですが、私は仕事でそれなりに評価され、収入もあります。しかし、大きな不満もないけれど、強く幸せを感じるわけでもなく、ただ漠然と日々を送っているような気がします。自分が頑張っていることや、人に自信もって語れることも見つからなくて、なんとなく人生に行き詰まり感があるんです。環境を変えるために、料理とかスポーツとか新しい趣味に挑戦してみたのですが、どれも本格的に打ち込むまでにはなっていません。そもそも、このままの自分では何をしてもうまくいかない気がしています。自分が何をどう頑張ればいいのかもよくわからなくなってしまいました。」

 

このように、「どこに向かってなにを頑張ればいいか分からない」という”迷える30代”は、少なからずいらっしゃいます。30代は、20代のころと比べて知識も経験も充実し、自分で仕事を回す裁量も増えてきている世代だからこそ、課題が見えにくいと感じることがありますよね。

 

そんな方にとって強い味方の1つとなるのは、「人を動かす能力」(ビジネスコミュニケーション能力)です。

この能力を武器にできれば、人から感謝され、自己肯定感が圧倒的に高まり、大きな成果を生み出していけるようになります。

 

そこで今回は、自分の人生に迷い始めている30代の方に向けて、突破口の1つである「人を動かす能力」をご紹介していきます。ぜひ、今後のご自身の成長を考える一助にしていただければと思います。

 
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職業別に求められる コミュニケーション能力

ポストコロナは「名刺ではなく”名前”で勝負する時代」

そもそも、個人の好みや趣向を考える前に、ポストコロナ時代に私たちを取り巻く環境をとらえてみましょう。

 

「ニューノーマル(新常態)」という言葉が最近よく聞かれますが、これは「従来の常識が大きく変わる」ことを指す言葉です。

 

2020年は、新型コロナウイルスという人類の脅威をきっかけに、多くの会社がリモートワーク・テレワーク環境を整えたのは記憶に新しいことでしょう。しかし、その変化は単なる一時しのぎではなく、「場所の制約を受けずに働ける」という新しい常識の幕開けであることに、うすうす気づいていらっしゃる方も多いはずです。これもニューノーマルでみられる一つの現象です。

 

例えば、日本IBMの山口社長は、2020年5月に「リモートを前提にしたビジネスモデルの再構築」について触れています。

IBMの社員を対象に調査を行ったところ、8割近くの社員がリモート勤務でも生産性が変わらない、もしくはいままで以上に生産性が上がったと回答している。システム開発でも、オンサイト、ニアショア、オンショアという形でチームを組んでいたが、そうした概念もなくなるのではないか。日本IBMは、すべての開発をリモートにシフトし、オープンソースのツールを使って、効率をいままで以上に上げながら、お客さまととともに、新たなものを生み出せる仕組みに挑戦したい。

出典:山口社長が語る、日本IBMの“ニューノーマル”を踏まえたIT戦略とは?

もちろん、全ての会社が完全にリモートワークに切り替わるというのは暴論です。しかし、リモートワークの意義に気づいた会社では、「リモートで外部の人に仕事を依頼する」動きが生まれているのは事実です。

 

例えば、無制限リモートワーク制度を導入しているヤフーでは、2020年夏に「100人の副業募集」を行っています。これは単なるアルバイト募集とは次元が異なります。単純労働ではなく、「戦略アドバイザー」「事業プランアドバイザー」といった知的でクリエイティブな仕事について、多様な人材を国内外から広く集めました。

すでに4500人以上の応募があった。「100人採用」と大々的に打ち出したので、当然ある程度の反応はあると思っていたけど、想像以上だ。応募は全都道府県、海外からも来ており、職種も大手企業の要職経験者、フリーランス、学生、市長さんなどさまざまだ。年齢も、下は15歳から上は80歳まで幅広い。

出典:ヤフーの副業募集に「4500人殺到」の舞台裏;東洋経済オンライン2020/08/20

 

場所の制約を受けない働き方が当たり前になっていくということは、自分の仕事のライバルが今まで以上に、日本国内・世界中に広がっていくことを意味しています。

 

実際、弊社(株式会社アイソルート)の新入社員採用においても、もともとは営業所がある関東・東海道地方・近畿地方在住の学生からの応募がメインでした。しかし、2020年のコロナ禍の影響によって採用面接を全てオンラインに切り替えたところ、北海道や九州在住の超優秀な学生に巡り合うことができたのです。これは学生側からすれば、限られた採用枠を全国のライバルと競っていたことになります。このように、コロナ以前から存在していたオンライン化はコロナ禍によって加速し、競争枠が広がりつつあります。

 

だからこそ、「優秀さ」の定義も、与えられている仕事での実績だけでなく、社内外で「この文脈だったら〇〇さんにお願いできるかも」と思い出される人物かどうかが今まで以上に大きな指標になります。つまり、会社の名刺ではなく、自分自身の名前で勝負していく自信の有無によって、キャリアが分かれていくのは間違いといえます。

 

では、どうすれば私たちは、自分自身の名前で勝負できるようになるのでしょうか?

   

資格は、自分の価値を担保するものにはならない

たまに、安心感を得るために資格勉強を始める方がいます。もちろん、必要性に迫られていたり自分の夢を実現するために資格を取ろうとする場合は大変すばらしいです。しかし、自信や幸福感をつけたいという観点でいえば、資格自体はほとんど何も功を奏していません。

 

なぜかというと、資格は(難易度は別として)「勉強すれば身につくもの」、言い換えれば「勉強さえすれば同程度の知識はもてる」ものだと世間的に認知されているからです。

 

勉強方法が明確に体系化されている分野は誰もが追いつけるため、一見差別化できているようで、実はほとんど差別化になっていないといえます。また、仮に非常に難易度が高い資格をとったあとも、「その知識を使って、何ができるのか」を相手が納得するように説明できて初めて意味をもちますよね。

 

この話は、資格自体を否定するものでは全くありません。しかし、資格は自分の価値を担保するものではないこともまた事実です。そのため、単に不安感をぬぐう・自信をつけるために資格勉強するということであれば、あまりお勧めできません。

 

では、「何もない」と感じる私たちは、いったい何をすればいいのでしょうか。どうすれば自分の価値を高められるのでしょうか。

一つの答えは「人を動かす存在になる」ことです。そして、そのための能力を磨いていくことです。

参考:しかくのいろは資格は役に立たない?5つのメリットと活かすための方法

 

人を動かす能力が高いと、圧倒的な存在感をもてる

「自分には何もない、何ができるのか分からない」と思っている人ほど、「周囲の人を動かす」ポジションをとることをお勧めします。これは「出世しましょう」という意味ではなく、役職の有無にかかわらず、コミュニケーションによって周囲を巻き込める人になっていこう、ということです。

言い換えれば、自分がハブ(中心部)になって、人と人をつなぐということでもあります。

 

その分野の専門知識や技術があまりなくても、人を動かすことに長けていると、集団の中で圧倒的な存在感をもっていけるようになります

 

例えば、オーケストラの例を考えてみましょう。オーケストラの最大の魅力である「音」は奏者が生み出しているにもかかわらず、一般的にも知られている人の多くは奏者ではなく、楽器を弾かない指揮者です。「世界のオザワ」と呼ばれる小澤征爾氏も、もともとピアノを習ってはいましたが、14歳のころに指を骨折して以来、奏者としてのキャリアを断念しています。

 

指揮者だけではオーケストラは成立しませんが、どれほど優秀な奏者が集まったとしてもそれだけでは不十分です。そこに優秀な指揮者が登場して奏者をつないでいくからこそ、音と音が綺麗に重なり、感動的な音が生まれるといっても過言ではないでしょう。

 

他にも、世の中を見渡すと、ゼロからスタートした成功者の多くは、知識量そのものではなく、人と動かす能力によって身を立ててきました。

 

「自動車の父」といわれたヘンリーフォードも同様です。フォードは、とある裁判で先方の弁護士に自分の会社の専門的な話について質問されました。それについて知らないと回答すると、「自分の会社のことなのに知らないのかね」と揶揄されたのですが、フォードはこの時こう答えたのです。

「そのような質問をするなら、私はあなたに言っておきたいことがあります。私の机の上には、たくさんのボタンがあります。その中の正しいボタンを押しさえすれば、私が必要としている知識を持った部下がすぐ来てくれ、正しい答えを私に教えてくます。私がどうしてあなたに答えるために、一般知識を全部詰め込んでおく必要があるのでしょうか。」

出典:ナポレホン・ヒル著、田中孝顕訳「思考は現実化する」,きこ書房,2005年

※下線部は筆者注。

 

「鉄鋼王」と呼ばれたアンドリュー・カーネギーも好例です。カーネギーの純資産は2,983億ドル(2007年時点の価値換算)であり、 2020年の世界長者番付1位であるジェフ・ベゾスの1,130億ドルを約3倍凌ぐほどの伝説的実業家です。

 

しかし、彼は名家の出身だったわけではありません。スコットランドの労働者階級に生まれたのですが、家族一家でたった一部屋に住むほどの非常に貧しい暮らしをしていました。しかし、アメリカに渡り、製鉄、鉄橋、不動産、製油そして鉄鋼といったインフラへの投資に次々と成功し、巨万の富を手にしたのです。

 

こう書くと、「彼の成功は、並外れた投資センスのおかげだろう」とみる人もいるかもしれません。しかし、彼が墓碑に刻むほど後世に強調したかった言葉は、以下のものでした。

Here lies a man who was able to surround himself with men far cleverer than himself.

(己より優れた者を周りに集めた者、ここに眠る)

つまり、彼の圧倒的成功を支えていたのは投資センスではなく「周囲を動かす力」だったのです。

 

国家規模でも同様のことがいえます。人と人をつなぐハブ的ポジションをとると、資源が乏しい国でも圧倒的な繁栄を誇ることができるのです。

 

たとえば、観光地として人気が高いシンガポールは、東京23区ほどの大きさしかない小さな国です。当然、天然資源が極めて乏しく、第一次産業はほとんど行われず鉱物資源もありません。また、国内に貯水施設がないため、飲料水は輸入に依存しています。

 

このように「ないものづくし」の国ですが、1人あたり国内GDPは日本の1.5倍以上を誇っています。その理由は、シンガポールが国際ビジネスの拠点地として多くの外国企業を誘致し、さらには金融・物流のハブ地としてのポジションをとったからです。

 

このような事実からいえることは、「自分には何もないと感じていても、十分勝てる戦い方がある」ということです。

自分のやりたいことが見つからない、何ができるのか分からない場合は、人と人をつなぐポジションをとり、人を動かす能力を駆使すると、人生が決定的に変わり始めます。人に感謝され、自分のやっていることに誇りをもてるようになり、自分の存在価値に自信をもてるようになります。顔が明るくなり、見違えるほど積極的になります。

   

人を動かす能力は、後天的に習得できる

とはいえ、人によっては「自分は外交的ではないから、人を動かすポジションは向いていない」と感じる人もいるでしょう。

 

しかし、私たちコミュトレが20年間かけて延べ8万人の成長と向き合ってきた中で、明確に断言できることは「人を動かす能力」は天賦の才能でもなければ、いわゆるカリスマ性でもない、ということです。

 

そうではなく、車の運転技術と同じように後天的に習得する能力です。

 

なぜなら、正しい姿勢とコツを押さえるかどうかで結果が変わる領域だからです。

そしてその姿勢やノウハウは決して難しいものではありません。むしろ、ほんの少し見方や言い方を変えるだけで劇的に印象が変わるものばかりなのです。

 

以下、「言いづらいことを的確に伝える」を例にみていきましょう。

 

人を動かす能力の例:言いづらいことを的確に伝える方法

仕事をしていると、相手との関係性を気にして言いたいことを言えない、ということはないでしょうか。言いたいこと言うと空気が悪くなる。しかし、我慢すると自分がつらくなる。

この二律背反を解消してくれるのが、まさに「人を動かす能力」です。

 

ある会議で、「A案にしたほうがいいと思います」という意見が出ました。

あなたはそれに対して「それよりもB案の方がいいのでは?」と考えています。

しかし、他の参加者も複数人が「いいね!」と支持しており、意見を言い出せる雰囲気ではありません。

こんなとき、あなただったらどうしますか?

(略)

 OK例:アサーティブなコミュニケーション

「なるほど、確かに一理ありますね。そのうえで、○○の観点で考えると、B案も良いと感じますが、いかがでしょう?」

 

この例では、自分が発言する前に、まず相手に理解を示しています。

こうすると、相手は「自分の意見を受け止めてくれた」という印象をもちますので、空気が壊れることはありません。

 

さらに、否定語を使わず「そのうえで」という接続詞を使って、相手の意見にのっかかる形で自分の意見を述べています。

このようにすれば、相手も「否定された」と感情的にならず、冷静に聞いてくれることでしょう。

出典:アサーショントレーニングとは?3つの自己表現タイプや職場で使える実践例を解説

 

この例で挙げたノウハウは「相手にまず理解を示す」そして「相手の意見にのっかる」というものです。このノウハウを使うことで、相手に嫌味なく自分の意見を言うことができます。

 

どれも、「言われてみればそうだ」というものではないでしょうか。しかし、逆を言えば「言われないと気づかない」ものでもあるかもしれません。

 

人を動かす能力は決して『特殊なもの』ではなく、「言われてみればそうだ」と思うようなノウハウや姿勢の集合体にすぎないのです。そのため、後天的に習得することで、だれでも「人を動かす能力」を磨くことができます。

 
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まとめ:人を動かす能力を磨いて、揺るぎない自信と誇りを形成していこう

いかがでしたでしょうか。今回は、自分の人生に迷い始めている30代の方向けに、「人を動かす能力(ビジネスコミュニケーション能力)を手に入れてみよう」とご提案しました。

 

私たちが望むかどうかに関わらず、ポストコロナ時代は「個人の名前で勝負する時代」は着実に向かいつつあります。

その際は、相手に思い出してもらえる人材になるかどうかが明暗を分けていくといえます。

 

人間関係やコミュニケーションにおいては、ほんの少し見方や言動を変えるだけで、周囲に与える影響や周囲への印象が劇的に変わっていきます。

その結果、仕事をストレスフリーでこなし、実績と自信と誇りを手に入れることができます。

逆に、その姿勢やノウハウを習得する機会がなかっただけで、本来経験しなくていい苦労をしている方も世の中に多くいらっしゃいます。

 

私たちはこのギャップを解消して、一人でも多くの方に仕事人生を楽しんでほしい、自信をもってキャリアを歩んでほしいと強く願いながら、長らく「人を動かすコミュニケーション能力」の教育に力を入れてきました。

 

ぜひ今回の記事をきっかけに、人を動かす能力をご自身の強みの1つとして、磨いていただければと思います。

 
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1967年 東京都出身。 東京工科大学機械制御工学科在学中に、輸入商社のスタートアップに参加。 1996年 株式会社コミュニティネット入社。営業所長として、PCソフト及びBTOパソコンの販売、ISP、IP電話代理店など、新規事業を立ち上げる。 1999年 「日本を元気にする会社を創りたい」と株式会社アイソルートを設立(eラーニング製品の開発)。専務取締役として営業、開発、財務の各責任者を歴任。 2004年 同社代表取締役に就任。以降19年間連続黒字と最高売上高更新中。 2007年 新宿区優良企業表彰「経営革新賞」受賞。 2012年 日経トップリーダー「本当に強い中小企業ランキング」全国総合14位、IT業界2位に選出。 2024年 ダイヤモンド社から書籍『話せる、伝わる、結果が出る!コミュトレ』を発売し、紀伊國屋書店ビジネス書第1位、Amazonセールス営業本第1位を獲得。

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