「あの人は営業で好成績なのに、どうして自分はうまくいかないのか」
「自分は営業に向いてないのかも…」
一生懸命に営業をしているのに成績が振るわないと、つい他の人と比較したり焦ったりしてしまうことは、多くの営業パーソンに共通する悩みでしょう。
営業は、センスや性格が物を言う世界だと思われがちです。
しかし、結果を出すために必要なのは、実は細かいコツの積み重ねでしかないのです。
つまり、営業のコツを正しくおさえれば、成約率は格段に上がります。
今回は、営業の成約率を高めるためのコツを具体的に解説します。
たとえ1時間後という間近に控えた営業であっても、さらに成約率が高まること間違いなしです。
ぜひ、この記事をブックマークして何度も見返して、コツを記憶に焼き付けてください!
目次
まずこれだけ押さえれば安心!営業前の準備のコツ
お客様に伝えたいことを20文字で表して印象に残す
営業の現場でやってしまいがちなのが、「あれもこれも」とたくさんの情報を伝えようとすることです。
しかし、営業パーソンにとっては話し慣れている情報でも、お客様は初めて聴く立場。
あまりにも多くのことを話そうとすると、結果的に、お客様の脳に負担をかけてしまいます。その結果、営業トークがぼやけて聞こえてしまい、あまり印象に残らなくなってしまうのです。
「一生懸命に話しているのに、お客様につまらなそうな反応をされる」という方は、このパターンに陥っていることが多いでしょう。
そこで、営業の準備をするときは、お客様に伝えたいことを厳選して1つに絞ることが重要になります。もし絞り切れない場合も、何がメインの主張となるのかを決めておきましょう。
そのときのコツは、伝えたいことを20文字程度でまとめることです。20文字とは、文章校正の世界で「一目で目に入る文字数」と言われています。
20文字、長くても25文字程度に収めるようにすると、自ずと言いたいことが1つに絞られます。その結果、伝えたいことがお客様の印象の残りやすくなるのです。
早速、以下の例を見てみましょう。
20文字で表す実践例
例:不動産営業
【NG例】
「この物件の良さは、駅から徒歩5分であり、資産価値が下がりにくいことである。さらに、敷地面積が広く、広々としたリビングで食卓を囲みながら家族団欒を楽しめるというメリットもある(77文字)」
こちらの例では、情報を詰め込みすぎて、結局何が魅力なのかよく分からなくなっています。
【OK例】
「この物件の良さは、資産価値が下がりにくいことである(16文字)」
こちらのOK例では、伝えたいことが1つに絞られています。NG例と比べると、要点がすっと頭に入ってきたのではないでしょうか。
このように、お客様に伝えたいことは20文字程度に収めるよう意識しましょう。「あれもこれも」と情報を詰め込んでいたときと比べて、お客様の反応が格段に良くなったことを実感するはずです。
お客様に心を開いてもらうヒアリングのコツ
質問する前に復唱を入れて、自然に会話する
お客様とコミュニケーションをとるときに「話をよく聴く」ことが大切だといわれませんか。
確かにそれはそうなのですが、多くの営業パーソンは「話をよく聴く」=「質問を一生懸命振ること」だと考えています。
実は、同じ質問をしても、それが唐突だと感じられることもあれば、違和感なく自然に聞こえることもあります。その差は、質問の前に、あるコツが入っているかどうかで決まります。
そのコツとは、ズバリ「復唱」、つまり相手が言ったことをそのまま繰り返すことです。
「それだけ?」と拍子抜けされるかもしれませんが、より自然な会話を通じて、少しずつお客様に心を開いていただくためには欠かせないコツとなります。
逆に、復唱が入っていないと、質問が唐突に聞こえてしまい、お客様に違和感を与えてしまう恐れがあります。
そういったコミュニケーション上の違和感を何度か覚えると、お客様は営業パーソンに対して「この人で大丈夫?」と不安を感じ、心を閉ざしてしまいます。
だからこそ、復唱を用いて自然な会話の流れをつくることが大切です。
今回も、NG例とOK例を比較してみましょう。
質問する前に復唱を入れて、自然に会話する実践例
例:保険営業
【NG例】
お客様「うちも小さい子供が生まれたので、そろそろ学資保険を考えてまして」 営業パーソン「お子さんは何歳なんですか」
お客様「1歳半です」 営業パーソン「将来は私立の高校や大学に通わせることも考えていらっしゃるのですか」
お客様「(話が飛んでるな…)ええ、まあそうですね」
いかがでしょうか。
営業パーソンはよどみなく質問を投げかけていますが、少し唐突に聞こえませんか?その会話の流れに違和感を覚えたお客様は、その後の会話でも反応がにぶくなっていきがちです。
【OK例】
お客様「うちも小さい子供が生まれたので、そろそろ学資保険を考えてまして」 営業パーソン「なるほど、学資保険ですか。お子さんは何歳なんですか」
お客様「1歳半です」 営業パーソン「1歳半なんですね!将来は私立の高校や大学に通わせることも考えていらっしゃるのですか」
お客様「(ちゃんと聴いてくれているな)そうですね」
同じ質問でも、NG例と比較すると、会話の流れがより自然になっています。
復唱は、「あなたの話を聴いています、興味をもっています」というメッセージを示すリアクションです。
安心感を覚えたお客様は少しずつ心を開いてくださるようになり、結果的に会話の流れがより自然になっていきます。
ただし、ここで1つ注意点があります。
復唱が大切だからと言って、お客様が話す度に毎回復唱をするとさすがにくどくなり、かえって違和感を与えてしまいます。
そこで、次に説明するポジティブな感想を入れるなど、リアクションの仕方を適宜変えるようにしましょう。
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お客様の感情を盛り上げるポジティブな感想を入れる
話を聴くとき、お客様の感情を盛り上げるコツがあります。
それが「ポジティブな感想を入れる」ことです。すると、お客様の話を熱心に聴いていることが、より伝わりやすくなります。
【実践例】
「そうなんですね!それは興味深いですね」 「なるほど、面白いですね」 「そうでしたか、それはおっしゃる通りですね」 「あ~、それは斬新な視点ですね」 |
これは、決してゴマをするというわけではありません。
お客様の話を興味深く聴いていると、ごく自然にこういったリアクションが出てくるようになります。
それを素直に表現すると、お客様も盛り上がり、ますます営業パーソンに心を開きやすくなるのです。
とはいっても、そういった感想を言葉にすることに慣れていないと、案外出てこないフレーズでもあります。
はじめのうちは、上記の例をパターンとして覚えておくと良いでしょう。
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成約率を高める魅力的な営業のコツ
数字でメリットを表現してインパクトを高める
成約率を高める魅力的な営業のコツの1つ目は、メリットの大きさを「数字」で表現することです。
メリットは、それをただ伝えるのではなく「イメージしていただく」ことが重要です。
数字は、抽象的なものを具体的にする効果をもちます。よって、メリットの大きさを数字で表現することは、それを聞いたときのインパクトを高めてくれます。
例: ITシステム営業
【NG例】
「こちらのシステムを導入することによって、御社の業務効率は向上します。業務時間の中で業務効率が上がるということは、空き時間が増えるということです。社員の一人ひとりの余剰時間が生まれることで、できることは大いに増えていくでしょう」
こちらの例では、たしかに「業務効率の向上」というメリットは示されています。 しかし、どれだけ効率が良くなるのか、その効果の大きさがイメージできないと、「よく分からない」という反応をされてしまいがちです。
【OK例】
「こちらのシステムを導入することによって、御社の業務効率は20%向上します。8時間の業務時間の中で20%業務効率が上がるということは、1日あたり1時間半の空き時間が増えるということです。社員の一人ひとりに1時間半の余剰時間が生まれることで、できることは大いに増えていくでしょう」
いかがでしょうか。
OK例のように数字を入れて伝えることで、商品やサービスの価値を明確に伝えることができます。その結果、お客様にとってより魅力的に感じる営業プレゼンになるのです。
比較して商品やサービスの価値を強調する
商品やサービスのメリットをプレゼンするとき、数字でメリットの大きさを表現しても「お客様の反応がいまひとつだな」と感じることがあるかもしれません。
そんなときは、営業の成約率を高めるコツの2つ目も使ってみましょう。
そのコツとは「比較する」ことです。 比較とは、自社の商品やサービスを別の何かと比較して、相対的な優位性を伝えることを指します。
人間の脳は「比較することで価値を認識する」という性質をもちます。
例えば「テストで60点とった」という事実があったとき、それをそのまま述べても、60点がどれだけすごいのかはピンとこないでしょう。
しかし、「クラスの平均点は40点だったけど、自分は60点とった」と言えば、「トップクラスの成績だったんだな」といったように、その60点の価値が伝わってくるのではないでしょうか。
このように、人間はある物事の価値を認識するときに、比較することで価値の大きさを理解します。つまり、営業でこの比較を使えば、商品やサービスの価値を強調することができるのです。
また、この比較表現は、営業に限らずコミュニケーション全般において、相手に価値を伝えるときに強力な効果を発揮します。是非、日常から使いこなしていきましょう。
次からは、成約率を高める比較のコツの代表例として「過去と比較して、現時点での魅力を強調する」「購入するメリットと購入しないデメリットを比較し、購入の納得感を高める」という2点をご紹介します。
過去と比較して、現在のメリットを強調する
「過去との比較」とは、自社の「以前の」商品・サービスと「現在の」商品・サービスを比較し、現在のメリットを強調することです。
具体的には「当社比○%アップ」「当社比△円リーズナブルに」といった表現をします。 その効果を、NG例とOK例を比較してみていきましょう。
【NG例】
「こちらの新しい製品に関しては、材料メーカーと弊社が直接取り引きしているため、さらなるコスト削減が可能となりました。」
【OK例】
「こちらの新しい製品に関しては、材料メーカーと弊社が直接取り引きしているため、当社比5%のコスト削減が可能となりました。」
NG例のように「さらなるコスト削減」と言われても、実際にどれくらい削減されたのか、お客様は想像しにくいでしょう。
しかしOK例のような「当社比5%のコスト削減」という話し方であれば、削減の程度が伝わるため、メリットが強調されてより魅力的に聞こえます。
購入するメリットと購入しないデメリットを比較し、購入の納得感を高める
比較表現のもう1つコツとして、「購入するメリット」と「購入しないデメリット」を比較する方法があります。
購入しないことで起こるデメリットとは、『機会損失(利益を得る機会を逃すことで生じる損失)』を指します。
つまり、商品やサービスを購入することのメリットと購入しないことのデメリットを比較することで、購入の納得感を高めることができます。
例:不動産営業
「今は賃貸マンションにお住まいでしたよね?賃貸マンションのデメリットは、一般的に『資産形成にはならない』と言われていることなんですね。一方、こちらの分譲マンションであれば、今お支払いされている月の家賃とほぼ同額でありながら、住宅ローンを完済した30年後には皆さんの資産になります」
この例では「分譲物件を購入せず、賃貸マンションに住み続けるデメリット(=資産にならない)」と「分譲物件を購入するメリット(=30年後に資産になる)」を比較しています。
それにより、「分譲物件を購入する」ことの納得感をより高めることができます。このように、メリットを伝えるときは、購入しないデメリットと比較させると効果的な場合が多くあります。
ただし、ここでも注意点があります。
購入しないデメリットを伝えることは、場合によってはお客様を否定することにもなりかねません。よって、嫌みにならないよう、細心の注意を払う必要があります。
具体的には、「お客様が興味を示さない限りは、あまり具体的に話さない」「一般論として話す」の2つを意識してみてください。
今回の不動實営業の例でいえば、購入しないデメリットは「資産形成にならない」というひと言にとどめており、しかも「一般的には〇〇と言われています」という言い方をしています。
このように、購入しないデメリットを話す時は、お客様を否定しないように注意しましょう。
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まとめ:営業のコツを押さえて、営業現場に臨もう!
いかがでしたでしょうか。
今回は「1時間後の営業で成約率を高めるコツ」というテーマで、営業準備・ヒアリング・魅力的な営業(プレゼン)というシチュエーションにわけてコツをお伝えしてきました。
以下、コツをまとめていきましょう。
1.営業前の準備のコツ:
お客様に伝えたいことを20文字で表して印象に残す 2.お客様に心を開いてもらうヒアリングのコツ:
①質問する前に復唱を入れて、自然に会話する
②お客様の感情を盛り上げるポジティブな感想を入れる 3.成約率を高める魅力的な営業のコツ:
①数字でメリットを表現してインパクトを高める
②比較して商品やサービスの価値を強調する
・過去と現在を比較して、現時点での魅力を強調する
・購入するメリットと購入しないデメリットを比較する
いずれのコツも、まさに「間近に控えた商談」にもすぐ使えて、かつ成約率を劇的に高めるものばかりです。
是非、これらを意識しながら、営業に臨んでいきましょう!