「プレゼンテーションを任されたものの、何をどう話していいか分からない…」「言いたいことがまとまらない」…みなさんも、こんなご経験はありませんか。
そんなプレッシャーのかかる場面でも、プレゼンテーションの基本構成を知っていれば、落ち着いて話すことができるようになります。
また、フォーマットに沿って話すことで、途中で話の道筋が見えなくなってしまったり、自分の中で混乱してしまったりすることを防ぐことができます。
構成は、道に迷わないようにゴールまでの道筋を指し示してくれる「地図」のような役割を果たしてくれます。
そこで今回は、聴き手に「分かりやすい!」と言われるための、どんなプレゼンテーションにも使える基本構成をお伝えします。ぜひ、あなたのプレゼンテーションにお役立てください。
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目次
【プレゼンの構成①】プレゼンのテーマを伝える
分かりやすいプレゼンテーションをするために重要なポイントの1つ目は、プレゼンテーションのテーマである「何についての話なのかを伝える」ということです。
プレゼンテーションをしている最中に、「自分が何の話をしていたのかが分からなくなってしまった…」という話をよく聞きます。
一度そういう状態になると、完全に話の流れを見失ってしまい、次に何を話せばいいのかがわからなくなって、焦ってしまいますよね。このような現象は、話のテーマを明確にせずに、いきなり話し始めてしまうときによく起こります。
この状態は、言い換えれば、目的地を明確にせずにあいまいな状態で進んでしまっているようなものです。
例えば、仮にわたしたちが「京都駅に行こう」と目的地を明確にして動き始めたとしましょう。そうすれば、何線に乗ればいいのか、どの駅で降りて、次はどこで乗り換えればいいのか…など、目的地までの道筋も明確になります。
しかし、わたしたちが「西に行こう」などと目的地をあいまいにしか定めずに、とりあえず進み始めたらどうでしょうか。おそらく、最初のうちは進むことができると思います。
しかし、どんどん進んでいくうちに、途中でどこに向かえばいいのかが、わからなくなってしまうのではないでしょうか。これは、明確な目的地が定まっていないがゆえに起こることです。
実は、プレゼンテーションでも同じことが言えます。だからこそ、わたしたち話し手にとっても、先にプレゼンテーションのテーマを伝えて、目的地を明確にしてから話し始めることが重要となります。そうすると、話の目的地が明確になっているので、話の方向性を見失わずに話し進めることができます。
では、実際には、どのようにプレゼンテーションのテーマを定めれば良いのでしょうか。
プレゼンテーションのテーマの作り方には、「テーマが既に設定されている場合」と「自分でテーマを設定する必要がある場合」の2種類があります。以下、順を追って具体的にみていきましょう。
テーマが既に設定されている場合
プレゼンテーションのテーマが既に設定されている場合、設定されているテーマがそのまま「わたしたちの話すテーマ」になります。
テーマが既に決まっている場合は、聞き手にも事前に共有されていることが多いため、「言わなくても伝わっている」と思いがちかもしれません。
しかし、話し手と聞き手の間でテーマを確認し合うという意識で、まずは決まっているテーマを伝えるようにしましょう。そうすることで、自分自身同様、聴き手も「この話は何についての話なのか」を再認識することができるので、その後の話の理解度がぐっと高まります。
<例>
「今回は、『学生時代に頑張ったこと』というテーマでお話しさせていただきます」 「みなさんもすでにご存じかもしれませんが、今回は、『今年度の抱負』というテーマで話を進めていきたいと思います」
自分でテーマを設定する必要がある場合
朝礼でのスピーチのように、テーマが明確に設定されていない場合は、自分自身でテーマを設定して、聴き手に示す必要があります。その際によくありがちな失敗例として、テーマを明確にせずに話を始めてしまう…というものがあります。
話すテーマがあいまいだと、そもそもの目的地が定まっていないため、話している最中に自分が何を話しているかがわからなくなる…ということも少なくはありません。
だからこそ、話のテーマが決まっていないときほど、自分で明確にテーマを定めることが重要になるのです。
それでは、自分自身でテーマを設定するときには、具体的にどうすればいいのでしょうか。
自分でテーマを設定する際に重要になるのが、「場の目的を理解する」ということです。
プレゼンテーションをする場面には、何らかしらその場の目的があります。テーマが決まっていないからと言って、何でも自由にテーマを決めて良いかと言えばそうではありません。
その場の目的を理解して、その目的に沿うようなテーマを設定する必要があります。
例えば、あなたが自社の新入社員に対して「仕事に対して前向きになるようなプレゼンテーションをしてほしい」と依頼されたとします。
この場合、具体的な話のテーマは決まっていない状態です。その際は、この場の目的である「新入社員を仕事に対して前向きな気持ちにする」というところから、自分でテーマを設定することになります。
今回の例の場合は、「仕事の魅力について」、「仕事のやりがいについて」、「仕事を通して得られる成長について」などが、目的に合ったテーマとして適切だといえるでしょう。
逆に、「仕事の難しさについて」や「仕事をする際に気を付けるべきことについて」などは、今回の目的には相応しくないといえます。
<例>
「今回は、『仕事をするうえで重要な考え方』についてお話しさせていただきます」 「本日のテーマは、『仕事にやりがいをもって働くことの大切さ』についてです」
【プレゼンの構成②】自分の考えをひと言で伝える
分かりやすいプレゼンテーションをするために大切な2つ目のポイントは、テーマを述べた後、「これから話す内容を最初に一言で伝えること」です。
そうすることによって聞き手は、話の概要を把握した状態でプレゼンテーションを聞くことができます。その結果、話をより深く理解することができるようになるのです。
だからこそ、まずは自分の伝えたいことを一言で伝える、というところから始めていきましょう。
自分の伝えたいことを一言でまとめる際のポイントは、「一言でいうと、わたしの伝えたいことは〇〇です」と一文にまとめることです。
分かりにくいプレゼンテーションは「○○で、△△なんですが、××で…」といったように、文章をいくつも繋げてしまっている傾向にあります。
このように、ところどころ文章を区切らずに長々と話を続けてしまうと、結局何がポイントなのかが伝わらないため、聴き手の集中力をそいでしまいます。
聴き手を飽きさせないためにも、「詳細は後から話す」と割り切って、まずは一文にまとめるということを意識してみてください。
また、事前に話す内容を書いてまとめる際にも、最後に「一言でいうと、自分の伝えたいことは何か?」という質問に答えられる状態にしておきましょう。
このように、「結局、自分は何を伝えたいのか」を自問することを習慣づけておくと、徐々に一言でまとめる癖がついてきます。
基本的には、「(テーマ)について、私は〇〇(自分の考え)だと考えます」というフレーズを使うと、ひと言でまとめることができます。ぜひ、慣れないうちはこのフレーズを活用してみてください。
【プレゼンの構成③】具体的な話をする
分かりやすいプレゼンテーションをするために大切な3つ目のポイントは、自分の伝えたいことを一言で話した後に、「その考えに至った背景を詳しく話す」ということです。
「その考えを持つに至った経緯は何なのか?」「そう考えるようになったきっかけは何だったのか」など、自分の主張にまつわる具体的な出来事や背景を伝えましょう。そうすることで、聴き手は、より話し手の考えを理解しやすくなります。
ここでどれだけ具体的な話ができるかによって、聴き手の理解度は大きく左右されます。具体的な話によって聴き手のイメージが鮮明になればなるほど、聴き手の理解は促進されます。
一方で、話に具体性がなく、イメージを湧かせられない場合、聴き手の理解を得ることは困難になります。そのため、この要素は、プレゼンテーションの構成の中でも最も重要な手順だといっても過言ではありません。
それでは、具体的にどのような話をすれば良いのでしょうか。
具体的な話をするコツは「自分の考えに至った出来事」を話すということです。
話し手であるわたしたちは、様々な出来事を経験して、自分の考えを確立させていますよね。しかし聴き手は、その考えに至った話し手の経験について、何も知らない状態です。
だからこそ、伝えたいことを一言でまとめただけでは、「話し手がどうしてそう考えるのか」という詳しい部分までを、聴き手に伝えることができないのです。
したがって、「いかに具体的に、その考えの背景にある出来事を伝えられるか」ということが、聞き手の理解度を決定づけるといえます。
では、「自分の考えに至った出来事」とはどのようなものを指すのでしょうか。ここでは、「実体験」と「見聞きした話」の2つを学んでいきます。
実体験を話す
具体的な話として効果的なものの1つに「実体験を話す」というものがあります。「実体験を話す」とは、自分の考えにつながる具体的な自分の経験を話すということです。
実体験とはつまり、話し手の身に実際に起きた出来事です。だからこそ、聞き手にとってイメージが湧きやすいという特徴があります。
また、自分が実際に経験した出来事なので、話し手のわたしたちにとっても、話しやすい内容だと言えるでしょう。さらに、実体験は話し手自身の話なので、聞き手の共感を誘うことができれば、それが話し手への共感や信頼につながるという効果もあります。
実体験を話す際のポイントは、「時・場所・登場人物などを具体的に話す」ということです。
その出来事は、「いつの出来事なのか」、「どこでの出来事なのか」、「誰との出来事なのか」を具体的に話すことで、聞き手にとってイメージが湧きやすくなり、こちらの伝えたい内容も伝わりやすくなります。
実体験は分かりやすく伝えるための強力な手段となりますので、ぜひ、積極的に活用していきましょう。
見聞きした話を話す
もう1つの効果的な話として、「見聞きした話を話す」というものがあります。実体験ではなく、他者の話やニュースで見た話などから、自分の考えにつながる話をする…というものです。
多くの方が、「何とか自分の話をしよう」と、自分の経験から話のネタを探そうとします。
しかし、必ずしも自分自信の話をしなければいけないわけではありません。自分の考えにつながるのであれば、自分が見聞きした話をするだけでも、十分聞き手に具体的なイメージを伝えることができます。
見聞きした話を話す際も、実体験を話すときと同様に、「時・場所・登場人物などを具体的に話す」ことが重要です。「それはいつ見た(聞いた)話なのか」、「どこで見た(聞いた)話なのか」、「誰から聞いた話なのか」など、話の内容を具体的に伝えるようにしましょう。
【プレゼンの構成④】話をまとめる
ここまでで、具体的な話を通して、聞き手に自分の考えの背景を伝えることができましたね。
最後に大切なのが、「自分の考えを再度一言で伝えて話をまとめる」ということです。
これは、全体の流れの最後の手順にあたり、ここで改めて、自分が言いたいことは何かを明確にしていきます。そうすることによって、ここまで話してきた具体的な話と自分の考えとのつながりを、聞き手に再度認識してもらうことができます。
この最後のまとめがあるかどうかで、ここまでに話してきた内容が聞き手の印象に残るかどうかも大きく変わってきます。
話をまとめる際のポイントは、「最初に自分の考えを伝えたときと同じ表現で話す」ということです。もちろん、厳密に一言一句同じである必要はありません。
ただ、最初に話したときの表現を別の言葉に置き換えてしまうと、仮に言っている内容自体は変わらなくても、別の内容と捉えて混乱してしまう人も出てきかねません。
そのため、最後に話をまとめる際には、可能な限り、最初に伝えたものと同じ表現でまとめるようにしましょう。
まとめ:プレゼンテーションの構成で分かりやすいプレゼンテーションを実現しよう
「分かりやすい」と言われるプレゼンテーションするときは、構成を決めずに感覚的に話すのではなく、「分かりやすいプレゼンテーションの構成」を活用していきましょう。
プレゼンテーションの構成がしっかり練られていると、その話は聴き手の印象に残りやすくなります。具体的には以下の通りです。
【プレゼンの構成①】プレゼンのテーマを伝える 【プレゼンの構成②】自分の考えをひと言で伝える 【プレゼンの構成③】具体的な話をする 【プレゼンの構成④】話をまとめる
いかがでしたか?「プレゼンテーションで何を話せばいいのか分からない」「話しているうちに何を伝えたかったのかが、わからなくなってしまう」…
こんな悩みをお持ちの方でも、この構成を活用するだけで、分かりやすいプレゼンテーションができるようになるはずです。
みなさんも、この構成を使って、話の目的地を明確に示しつつ聴き手にイメージを沸かせるような魅力的なプレゼンテーションを目指していきましょう。
ぜひ、ブックマークしたり印刷したりして、プレゼンテーションで何を話すか考えるときに、見返してみてくださいね。
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