「プレゼンが迫っているのに、伝えたいことが一向にまとまらず、時間だけが過ぎていく…」
こんなご経験、されたことはないでしょうか。
プレゼン直前に慌てて内容をまとめてみたは良いものの、いざ本番になると「これでいいのかな」とどんどん不安になってしまい、結局支離滅裂な状態で話をしてしまう…。
もしこんな苦い経験をお持ちであれば、今回の記事はあなたの強力な味方になります。
プレゼンの構成を知らずに、毎回ゼロからプレゼンを組み立てていこうとすると、労力がかかる上に、内容になかなか自信をもつことができません。
しかし、説得力が高まるプレゼンの構成をフォーマットとしておさえておくと、それを埋めていくだけで、聞き手の理解や納得が自然と生まれ、プレゼンを成功させることができてしまうのです。
そこで今回は、「どんなプレゼンにも通ずる基本構成」をお伝えします。
その上で、「聴き手の納得を生むプレゼンの構成」を、伝える目的別に3つご紹介します。
プレゼンの構成をしっかりおさえ、無駄な苦労をせずに、もっとラクにプレゼンを成功させていきましょう!
☑ スピーチ・プレゼンの台本作りについては、こちらもご覧ください!
目次
【前提】あらゆるプレゼンの基本構成
ひとくちに「プレゼン」といっても、会議での発表、コンペ(コンペティション)、説明会、研修など、さまざまなシーンがあります。
ただし、どのシチュエーションにおいても、プレゼンは以下3つの要素で成り立ちます。
1.フロント 2.ボディ 3.クロージング
この3つの要素は、1つの流れになっています。
プレゼンの中心部分となる「ボディ」だけに着目しがちですが、説得力を高めるためには、実はどの要素も欠かすことはできません。
そのため、プレゼン構成を考える前提として、1つひとつの要素をおさえておく必要があります。
早速詳しく見ていきましょう。
プレゼンの土台をつくるフロント
フロントの役割は、聴き手の「聴く体勢」を作ることです。
聴く体勢とは、
「このプレゼンの内容は、自分のためになりそうだ」
「面白そう、続きを知りたい」
という期待感を指します。
映画でいうところの「予告編」に相当するものであり、プレゼンの土台となる部分です。
そもそも、なぜプレゼンの最初に聴く体勢をつくることが大切なのでしょうか。
それは、聴き手の集中力を高めるためです。
人間は、ただ情報を与えられさえすれば脳にインプットできるのかというと、そうではありません。
私たちの脳が情報を記憶するかどうかは、どれだけ集中していたかどうかによって変わります。
つまり、聴き手の印象に残るプレゼンを目指すのであれば、本題に入る前に聴衆の聴く体勢を作る必要があります。
<例>新卒採用の会社説明会:
「本日は、弊社にご関心をお持ちいただきありがとうございます。せっかく就活するのであれば、後悔しない会社を選びたいですよね?ただ、何を基準に会社を比較すればいいのか、意外と教わらないですよね。そこで今回は、後悔しない会社選びの基準をお伝えしつつ、あなたが弊社に入社するとどんなキャリアを歩んでいけるのかをお伝えしたいと思います」
最も伝えたいことを効果的に伝えるボディ
ボディの役割は、伝えたい内容を相手の印象に残したり、動機づけたりすることです。
本記事の後半で、ボディで使える構成を3つご紹介します。
そのいずれにおいても重要なのが、「聴き手を動機づける」という点です。
聴き手の心に刺さらないプレゼンは、まるで「取扱説明書」のように、情報が羅列されているだけになっていることが多いです。
取扱説明書を読んで、ワクワクしたことはあるでしょうか?
おそらく、ほとんどの方がないですよね。
聴き手に「なるほど!」と納得してもらうためには、「小説」のように鮮明なイメージをわかせられるよう、具体的な内容を盛り込むことがポイントです。
<例>ソフトウェア導入のコンペティション:
「弊社のソフトウェアを導入いただければ、業務効率が従来に比べて格段に向上します。具体的に言えば、社員1人あたり、1日1時間の余剰時間が生まれるので、今まで時間がなくて後回しにしていた業務があれば着手できるようになります」
聴き手の背中を押すクロージング
クロージングの役割は、プレゼンの狙いを達成できるように聴き手の背中を押すことです。
具体的には、
①プレゼンのポイントをまとめる ②行動を促す
の2点です。
ビジネスにおけるプレゼンは、必ず狙いをもって行います。
その狙いは、「行動を起こしてもらう」「承認してもらう」などさまざまですが、ボディで多くの情報を伝えると、それらの狙いはぼやけてしまいます。
そのため、プレゼンの最後にポイントをまとめ、次にとってもらいたい行動を述べることで、聴き手の頭を整理し、背中を押すことができます。
<例>会議での提案:
「最後にまとめると、今回は○○の問題を解決する策として、△△について提案させていただきした。是非ご承認いただければと思いますが、いかがでしょうか」
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失敗せずに説明したいときのプレゼン構成
では、ここからは、目的別にプレゼンの「ボディ」で使える構成をご紹介します。
1つ目は、失敗せずに情報を説明したいときに必見の「SDS法」です。
SDS法とは、「概要(Summary)」-「詳細(Detail)」-「全体のまとめ(Summary)」を指します。 進捗報告や業務報告など人前で報告をする場面、事実情報を説明する場面全般で有効です。 話をシンプルに伝えられるので、「分かりにくい」と言われることがほとんどありません。説明で迷ったら、この型を使ってみましょう。
SDS法を使ったプレゼンの例
概要(Summary)
それでは、プロジェクトの企画書の新たなフォーマットをご説明します。
従来のものから変更した点は、「企画立ち上げの背景」「ニーズ調査」の2点です。 |
詳細(Detail)
まず、1つ目の「企画立ち上げの背景」についてです。
この項目を追加した理由は…(詳細な情報を伝える) 続いて、「ニーズ調査」です。 こちらは従来のフォーマットにも記載することになっていましたが、より詳細に記述するよう変更しています。 具体的に言いますと…(詳細な情報を伝える) |
全体のまとめ(Summary)
以上、企画書の新しいフォーマットについて、「企画立ち上げの背景」「ニーズ調査」という2つの変更点についてお伝えしました。
いずれも、プロジェクトの立ち上げ・実行をよりスムーズに進めるためにも、欠かせないポイントとなります。 |
このように、概要からはじめて、再度まとめで終わるSDS法を使うと話がすっきりまとまります。
「途中から言いたいことがあれこれと浮かんでしまい、支離滅裂になってしまう」という人は、まずSDS法を使い慣れるところから始めてみましょう。
とにかく分かりやすく主張したいときのプレゼン構成
続いて、分かりやすく主張したいときに使える、「PREP(プレップ)法」という構成をご紹介します。
PREP法は、「結論(Point)」-「理由(Reason)」-「事例(Example)」-「再度、結論(Point)」の4要素で構成されています。 SDS法のD(Detail:詳細)を「理由(Reason)」と「事例(Example)」によって強化したものであり、SDS法と比べると、さらに説得力が高くなる構成です。
このPREP法は、会議中に意見を述べたり提案をしたりするときに有効です。
こちらも、使い方を事例で確認していきましょう。
PREP法を使ったプレゼンの例
結論(Point)
私は、Aさんの「フリーアドレス制(※)」を導入するという案に賛成です。
(※フリーアドレス制:社員の座席配置を固定せず、好きな席で仕事ができる制度)
理由(Reason)
なぜならば、席を自由にすることで、社員同士の横のつながりがうまれやすくなるからです。
日常的にちょっとしたコミュニケーションが生まれることで、業務連携がしやすくなったり、新たなアイディアが生まれやすくなったりすると考えます。
事例(Example)
実際、フリーアドレス制を導入しているX社において、部署を超えて一緒に働くシーンが増えたため、社内コミュニケーションが円滑になったという例があります。
具体的には…
再度、結論(Point)
以上をふまえ、私はAさんの案に賛成です。
生産性向上に向けて、社員がより仕事をやりやすい環境を作るためにも、是非導入してみてはいかがでしょうか。
このように、PREP法を使うことで、結論に対する納得度が高まります。
意見を述べるときだけでなく、朝礼でのスピーチなどでも使える構成なので、是非活用してみてください。
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聴き手に深いインパクトを与えたいときのプレゼン構成
聴き手に深いインパクトを与えたいときに有効なのが、「クライマックス法」です。
クライマックス法は、伝えたい要点や結論を最後に持ってくるという点で、ここまでにお伝えした「SDS法」や「PREP法」とは逆の発想で使われます。 クライマックス(climax)とは、「頂点(山場)」という意味の英単語が由来となっており、「映画のクライマックス」などという表現で聞いたことがある方も多いでしょう。 映画や小説と同様、背景の説明から始めて聴き手を少しずつ引きこみ、最後にオチである結論をもってくることで、結論のインパクトを強めることができる構成になります。
インパクトが大きいからこそ、聴き手の感情を揺さぶることができるのです。
ただし、ビジネスの世界では、一般的に「結論を最初に述べる」ことが主流となります。よって、報告や会議での発言など、発言時間が短いときは控えた方が良い場合が多い方法でもあります。
一方、結論から伝えると誤解を与えそうな場合や、聴き手との信頼関係がしっかり構築されている場合には、クライマックス法が効果を発揮します。
クライマックス法を使うときのコツは、単に結論を最後にもってくることではなく、聴き手の予想を上回る結論をもってくることです。
例を見ていきましょう。
クライマックス法を使ったプレゼンの例
朝礼でのスピーチ
ビル・ゲイツという人物は、みなさんご存知だと思います。ビル・ゲイツにこんな逸話があります。
彼は世界でトップクラスの資産額をもつ人物として有名ですが、実は『自分の子供には一銭も遺さない』と豪語しているのです。
彼はなぜこんなことを言うのでしょうか。
私たちからすれば、『お金を稼ぐ苦労を経験させないと、子供を甘やかしてしまう』と考えますよね。
しかし、彼の発想は逆なんです。
むしろ『仕事するという、人生における最大の歓びを奪ってしまうからだ』と彼は言っているんですね。
つまり、偉業を成し遂げる人は、苦労しながら嫌々仕事をしているのではなく、心の底から楽しいものだと感じながら仕事をしているんです。
私たちも、1週間の大半を仕事に費やしているかと思いますが、どうせ長く時間を使うのであれば、仕事を楽しむ工夫をしながらこなしていきたいですね。
この例では、「仕事を楽しもう」という結論を最後にもってきました。
最初に結論を言ってしまうと、「そんなの当たり前だろう」と思われてしまうかもしれません。
しかし、クライマックス法を使うことで、「確かに大事だな~」とプレゼンの最後で大きなインパクトを与えることができます。
1時間程度の長いプレゼンをする場合は、5~10分に1度はクライマックス法が入っていると、聴き手の満足度を格段に高めることができます。
まとめ:プレゼンの構成を駆使して、ラクにプレゼンを成功させよう
今回は、全てのプレゼンに通ずる基本構成をもとに、目的別に使えるプレゼンの構成についてご紹介しました。
ポイントを再確認しましょう。
◆プレゼンの基本構成 全てのプレゼンは、以下3つの要素で成り立ちます 1.フロント 2.ボディ 3.クロージング
◆プレゼンのボディで使える構成は、その目的に応じて3種類あります 失敗せずに説明したいときは「SDS法」 とにかく分かりやすく主張したいときは「PREP法」 聴き手に深いインパクトを与えたいときは「クライマックス法」
プレゼンをする場合は、基本構成に則って情報を整理しましょう。
また、伝える目的に応じて、ボディの構成を使い分けてみてください。
プレゼンをするときに、毎回ゼロから構成を組み立てると、かなりの労力がかかります。
今回ご紹介した効果的な型を使っていけば、よりラクにプレゼン内容を考えられること間違いなしです。
あなたがプレゼンを楽しんでいけるよう、応援しています!