「あの人は、なんで人の話を聞いていないんだろう」
会議で、こう感じることはありませんか。
質問に対して「えと、すみません、もう一度いいですか」と言葉につまったり、
さっき全員で合意したはずのことを「なんでしたっけ?」と聞いてきたりと、
「話を聞いていなかったの?」と思わせるような言動があると、
本人が委縮するだけでなく、場の空気も一瞬白けてしまいますよね。
一般的には話を聞いていないのは本人に原因があると思われがちですが、実はそうではありません。
むしろ、周囲の関わり方が大きく影響しているのです。
そこでこの記事では、話を聞いていない人が出てきてしまう原因を、人間心理の観点から解き明かしていきます。
原因を理解することで、会議の参加者全員を巻き込みながら進行していくためのきっかけが得られるでしょう。
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目次
話についていけないのは、「やる気」の問題?
過去、「話についていけなくて、会議の2時間がとても苦痛でした」というメンバーさんがいました。議論についていけないというのは、例えばこんな具合です。
<会議におけるA,B,C,Dさんの議論>A「メディアの読者数を増やす案ですけど、何かありますか?」B「そうですね、今年はメディア編集者のオンライン会議をライブ配信して、読者と相互交流できたら面白いかもですね。読者に飛び入り参加してもらって、その場で会話するとか」C「それもいいけど、そもそも何をもって施策の成功とするのか決めた方がいいかと思います。読者といっても幅広い層がいますし、彼らの満足度って何で測るのか決まっていないので、考えようがないじゃないですか」A「たしかにそうだね。Dさん、それについてどう思う?」D「えっ、どう思うっていうのは…?」A「え、だから、どんな指標にしたらいいかっていう話なんだけど(あれ、話聞いてなかったの?)」D「あ、えと、指標ですか…」
このように、話の流れについていけず、質問を振られると口ごもったりします。
このような姿をみて「なんでちゃんと聞いてないの?」「やる気ないのかな」といら立ってしまう人もいるかもしれませんね。
しかし、本当に本人のやる気だけに問題があるのでしょうか。実は人間の心理面から検証すると、やる気以前に「そもそも本人が能力を十分に発揮できない状況にある」ことが多いのです。
ですから、理解が追いついていなさそうな人を見ても、本人を責める前にまず、そもそもその人が100%能力を発揮できる状態にいるのかを確認することが重要です。
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人間は感情の動物!理解度と感情の深い関係
「さっき言ったから、分かっているはずなのに…」
議論にすんなりついていける人にとっては、いったいなぜ話を理解できないのかが分からないということもあるでしょう。
ここでヒントになるのが「感情」です。
皆さんは「人間は感情の動物である」という言葉を聞いたことはないでしょうか。
人間心理を紐解くと、私たち人間は、聞いた情報をありのまま受け止めているわけではないことが分かります。
なぜなら、情報をどうとらえるかは「どのような感情をもっているのか」で決まるからです。
例えば、相手から自分の短所を指摘されたとしましょう。普段あまり関係が良くない人や、さほど親しくない人から指摘されたとき、素直に受け止められるでしょうか?むしろ「あなたは私の何を知っているんだ」「あなたに言われたくない」と思ってしまう人も多いかもしれません。自分の成長を助けてくれていると好意的にとらえるよりも、「攻撃された」「否定された」とマイナスにとらえてしまいがちですよね。一方で、あなたが尊敬している人や、好きな人から指摘をされたらどうでしょう。先の例と比べると、素直に聞けるという人も多いのではないでしょうか。指摘も「自分のことを思って言ってくれている」と前向きにとらえられそうですよね。
このように、同じ情報を聞いても、どんな感情をもつのかによってとらえ方が180度変わります。
そのため、話や議論を正しく理解するためには、そもそもの大前提として、プラス感情が必要不可欠なのです。
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理解度の土台は「自分は受け入れられている」という安心感
では、会議参加者がプラス感情をもつにはどうすればいいのでしょうか。
プラス感情といっても、人間的に好かれる、尊敬されるなどといった非常にポジティブな感情である必要はありません。
会議の議論についてきてもらうために必要になるのは、「自分はこの場に受け入れられている」という安心感です。
これは、心理学では「心理学安全性」と呼ばれています。
心理的安全性(psychological safety)心理的安全性とは、ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授が、1999年に提唱した概念です。自分の発言が他人からバカにされたり否定されたりして傷つくかもしれない、という恐れをもたずに、安心して自然体で自分をさらけ出せている状態をさします。米Google社が2012年から「プロジェクトアリストレテレス」という大規模な労働改革プロジェクトを実施し、その成果報告として「心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要なものである」と発表しました。それにより、企業から大きな注目を集めるようになりました。
たとえば、よほど限られた人しか知らない話題でない限り、気の知れた友人同士で談笑しているときは、「話が全く理解できず、会話についていけない」といった経験はあまりないですよね。
同様に、自分の話を比較的素直に聞いてくれるだろうと思える人との会議では、何の問題もなく議論についていけるという人も多いでしょう。これらは、心理的安全性が高く、自然体で振舞えているがゆえの現象です。
一方で、上役や役員など権力者が会議に出席していると、「緊張して声が震える」と感じたことはないでしょうか。
あるいは、普段ほとんど会話しないような人が会議に同席すると、「この人は何を考えているのかよく分からない。話しにくいな」と感じたことはないでしょうか。
それがまさに、心理的安全性が低い状態に陥ったときの心理状態です。
もともとの能力の高さに関係なく、会議参加者からどう思われているのか分からない、あるいは否定されるかもしれないと感じると、人間は自然体でリラックスして振舞えなくなります。
その結果、緊張したり委縮したりして「話についていけない」といった現象が生じてしまうのです。
このように、会議の場における理解度は、「安心感」という感情で支えられているのです。
だからこそ、参加者が100%能力を発揮して議論に積極的に加わるには、周囲の参加者がその本人に対して感情配慮を行い、「私たちはあなたを受け入れている」「あなたを尊重している」というメッセージを発することが非常に重要です。
※感情配慮の仕方については、こちらの記事も併せてご覧ください。
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まとめ:話の理解度は、感情で9割決まる
いかがでしょうか。今回は、「会議の話を理解できない人の意外な真相」と題して、理解度に影響を与える因子をみていきました。
本記事でのポイントは2つです。
●人間は感情の動物であり、理解の大前提としてプラス感情をもっている必要がある●会議で「自分はその場に受け入れられている」という安心感(心理的安全性)をもてると、理解度が高まる
心理的安全性を高めることで、おのおのの参加者は自分がもつ能力を100%発揮し、高い集中力をもって会議に臨むことができます。そのため、あなたが会議でスムーズに議論を進めたり、参加者を巻き込もうと思うならば、参加者の感情に十分配慮することがカギとなります。
とはいえ、立場も価値観も異なる相手の感情に配慮するとは、一体どういうことなのでしょうか。おそらく、なんとなくは分かるけれども、逆に言えばなんとなくでしか分からない人もいらっしゃるでしょう。
コミュトレでは、会議で全員を巻き込んでスムーズに議論できるよう、人間の感情の扱い方や人間心理の本質を体系的に学習していただいております。
ぜひ今回の記事をきっかけに、人間心理の本質を学んで、よりいっそう飛躍して頂ければ幸いです。
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