転職面接の自己PRでは、これまでの実績や技能をもとに、「応募企業にどんな貢献ができるのか」を伝える必要があります。
中途採用では「うちの会社でどのように活躍できそうか」が重点的に問われるため、事前に十分な対策を練ることが大切ですよね。
しかし、自己PRで押さえたい必須項目や効果的な伝え方は、意外と教わらないもの。
そこで本記事では、転職面接に臨む方向けに、自己PRで必ず押さえたい項目や上手に伝えるコツ・注意点を、ビジネスコミュニケーション能力の観点でご紹介します。
ぜひ、本記事の内容をもとに万全の準備を行って、悔いのない結果を導きましょう!
目次
転職面接の自己PRで伝えるべき項目
最低限押さえたい自己PR項目
自分のアピールポイントを伝えるのが自己PRですが、何を伝えればよいのか迷いますよね。
どんな企業でもほぼ通用する、「最低限押さえたいアピールポイント」は以下の3点です。
- 前職での実績・保有スキル
- 入社後に貢献したいこと
- 問題解決スキル
こちらを、回答例とともに確認しましょう。
自己PR項目①:前職での実績・保有スキル
面接官は、自己PRを通じて「うちの会社で活躍してくれそうか」を見ています。そのため、前職での実績・保有スキルを伝えていきましょう。
ただし、専門職になるほど、前職での実績や保有スキルは履歴書で既にチェックされています。書類選考に通ったのであれば、履歴書に書いた実績はある程度評価されているとみてよいでしょう。
そのため、面接で自己PRを求められた場合は、実績そのものだけでなく、「どうやってその実績を獲得したのか」まで伝える必要があります。
なぜなら、面接官は「どのように考え、どう仕事を進める人なのか」という言動パターンを見ているからです。
【自己PR回答例】
「他の人は、取引先のアフターフォローを代理店任せにしていた。しかし自分は、代理店につないだ後に自ら取引先にフォロー電話をかけて、担当者の不安を丁寧に解消した。自分が最後まで責任を負う姿勢でお客様対応に臨んだ結果、高い受注率をキープできた」「若手社員の電話対応スキルに個人差があったが、他の人は“個人差があるのは仕方ない”と看過していた。しかし自分は、電話対応こそ会社の顔であり、疎かにしてはいけないと考えていた。なので、空き時間を使って電話対応マニュアルを作成し上司に提案したところ、とても喜ばれた。また、そのマニュアルを使った若手社員の電話対応スキルが向上し、社員からも感謝された」
このように「どんな状況でどのように考えて動く人なのか」を実績と共に伝えると、入社後の活躍イメージが明確に湧くので、高評価につながります。
自己PR項目②:入社後に貢献したいこと
自己PRでは「入社したあとに、どのようにその応募企業に貢献したいのか」にも触れましょう。
前職での実績・保有スキルが高くとも、応募先企業で生かせなければもったいないですよね。
【自己PR回答例】
「顧客の立場に徹底して寄り添う営業スタイルを生かし、御社の新規営業でも高い顧客満足度を獲得して、会社の売上向上に寄与していきたいと思います」「利害が一致しない関係者の交渉をまとめ上げた調整力を生かし、チームマネージャーとして御社の事業拡大に貢献していきたいと思います」
といったように貢献している姿を伝えることで、採用するメリットが高まります。
自己PR項目③:問題解決スキル
どんな企業でも、問題解決スキルが高い人材は大変魅力的に映ります。
想定外のトラブルであっても本質を冷静に見極め、関係者を巻き込んで適切に対応できる能力は、強力な自己PRポイントとなります。
実際に伝えるときは、自分が実際に経験したトラブルや問題をどう解決したのか、一連の流れを具体的に説明しましょう。
【自己PR回答例】
「前職で××という状況が起こった。そのとき自分は〇〇と考え、△△を実行した。その結果、◎◎という結果になった」
面接官に響く自己PRの作り方
面接官の心により響く自己PRにするには、面接官が自己PRで何を聴きたいのかを押さえましょう。
結論から言うと、面接官が自己PRを通して知りたいのは、
- 今のタイミングに合っている人材か?
- うちの職場環境に入社したら、組織の目標を達成できそうか?
の2点です。
中途採用では、欲しい人物像が新卒採用に比べて、非常にピンポイントに定まっています。
そして、募集時点での企業状況や目指したい方向性、達成したい目標、企業風土によって異なります。
<企業状況・方向性・目標による違い>
例えば、デザイナーの人材募集でいえば、
●A社は「今後急速に事業拡大していきたいので、制作チームを束ねてプロジェクトを回す人を増やしたい」→A社は、与えられた指示をコツコツとこなしていくよりも、マネジメントに向いているデザイナーが欲しい
●B社は「プロジェクトで仕上げたい制作物は決まっているが、社内に実装できる人がいない」→B社は、与えられた指示を正確かつ迅速にこなせるデザイナーが欲しい
<企業風土による違い>
●C社は「企業内の教育制度が確立しており、同職種の社員が助け合う文化がある。疑問点があれば、先輩社員に聞けば丁寧に教えてもらえる」→C社は、学習能力が高く、教わったことを着実に吸収できるデザイナーが欲しい
●D社は「企業内の教育制度が確立されておらず、同職種の社員もいないため、自分で勉強していかなければいけない」→D社は、自分から能動的に情報収集して、全体像を自分なりに把握できるデザイナーが欲しい
となるかもしれません。随分と異なりますよね。
どちらが良いか悪いかよりも、「その時点における企業のニーズに合致しているか」がポイントです。
そのため、単に「職務能力が高い」ないしは「意欲が高い」だけでは、面接官にとって十分な自己PRとはいえないおそれもあります。
面接官の心に響く自己PRを伝えるときは、「その時点でのニーズに適している」という観点も踏まえて話しましょう。
💭 印象に残る伝え方で、周囲と差をつけていきましょう!
自己PRを面接官へ正確に伝えるコツ
先ほど、自己PRを伝えるときは「その時点でのニーズが合うかどうか」を意識しようとお伝えしました。
もちろん、これは自分を誇張しよう、ということではありません。
転職面接に臨むあなたにとって重要なのは、企業に入社すること自体ではなく、入社後に長く活躍することですよね。
なので、自己PRを面接官にしっかり伝えるときは、「自分の特長・性質を正確に伝えること」が最も重要となります。そのうえで、企業側のニーズに合致すれば、良いご縁となるでしょう。
正確に伝えるためには、具体的なエピソードを語りましょう。
エピソードを使うことで、面接官はあなたの経験を追体験することができます。
その結果、あなたがアピールしたいことをより正確にイメージできるようになります。
面接官に伝わるエピソードトークのコツ
面接官に伝わる自己PRエピソードにするには、
- 伝えたいことを絞る
- 数字を使って、肌感覚を伝える
- 1分程度にまとめる
ことが重要です。
自己PRを伝えるコツ①:伝えたいことを絞る
自己PRのエピソードでありがちな失敗は、「伝えたいことがぼやけてしまう」というもの。
エピソードの役割はあくまでも「伝えたいことを補完する」ものであり、決して伝えたい主旨そのものではありません。
まずは、「そもそも何をアピールしたいのか」を最初に決めましょう。そのうえで、具体的にイメージしてもらえるエピソードを話しましょう。
自己PRを伝えるコツ②:数字を使って、肌感覚を伝える
数字は、物事を正確に把握するための尺度です。そのため、自己PRにおいても、数字を使って具体的に話す必要があります。
人がある情報を聴いて「なるほど」と感じるときは、話の規模感や難易度(レベル感)、温度感といった肌感覚を想像できた瞬間です。数字は、このような肌感覚を伝えるうえで非常に効果的です。
一方、数字で示されていない話は、肌感覚があまり伝わらないため、いまいち納得しづらく印象にも残りにくくなります。
例えば、営業職の転職面接でトップセールス受賞を自己PRしたいとき、
A:「トップセールスをとりました」
B:「1,000人の営業マン中1位をとった」
AかBかによって、面接官が抱く印象は全く異なりますよね。
単に「トップセールスをとった」だけは、どれくらいすごい話なのかがイメージしづらいため、面接官の反応は薄くなりがちです。
しかし、1,000人という数字を交えることで、トップセールスのレベル感や難易度が明確になるので、自己PRしたい内容が正確に伝わります。
このように、自己PRのエピソードを語るときは、意識的に数字を盛り込んでいきましょう。
業績が数字で表せないときの自己PR法
事務職など、業績や成果が数字で示しづらい経歴の場合はどのように自己PRすべきでしょうか。結論から言うと、業務量や幅を出来る限り数字に落とし込んでみましょう。
それだけで、能力の高さをアピールできることも多々あります。
例えば、
・「100社以上ある取引先の納品書作成、請求書作成に5年間携わってきた」・「在庫管理や伝票処理に1年携わっていたが、入力ミスはほぼゼロだった」・「社員数30名のうち、事務職は私1人だった。そのため、問い合わせ電話やメールの応対、会計処理、請求書発行、決算書の提出、勤怠管理表のチェック、来客対応など、10種類以上のタスクをすべて毎日1人で行ってきた」
といったように、取り組んできた業務の量や幅を数字で伝えると、面接官に納得してもらいやすくなります。
自己PRを伝えるコツ③ 1分程度にまとめる
たまに、面接準備をする受講生から「自己紹介はどの程度の長さで話した方がよいか」と伺います。
結論で言うと、およそ1分程度(300字前後)でまとめていきましょう。1度の面接で伝えるとっておきのエピソードの数は1つ、多くても2つが目安です。
限られた時間の中で多角的に検討するためには、自己PR以外にも様々な質問をする必要があります。なので、自己PRであまり多くのエピソードを深く掘り下げることはできません。
なので、自分の中でキラーコンテンツとなるエピソードを最大2つ用意できれば十分です。
その代わり、伝えたいことを明確にし、数字を用いて肌感覚までしっかり伝えると完璧です。
自己PRを面接官に伝えるときの注意点
注意点①:アピールポイントを無理に誇張する必要はない
自己PRを伝える際、合格したいがあまり、実績やスキルを無理に大きく見せようとする方がいます。しかし、誇張する必要もなければ、企業に合わせて脚色する必要はありません。
むしろ、等身大の自分の特徴やPRポイントを正確に伝えられれば十分です。
最も避けたいのは「よくよく聞いてみると、思っていたのと違っていた」と失望させることです。
「履歴書では、プロジェクトを回して成功まで導いたような印象を抱いていたのに、よく聞いてみたら実際担当していたのはプロジェクトの一部分だった」といったように期待を裏切ると、良い評価を得るのは難しくなります。
また、たまに「転職回数が多い」「無職の期間が長かった」といったような過去の経験に負い目を感じる方がいます。しかし、重要なことは経験や経歴そのものではなく、そうなった理由です。
どういう状況で何を考えてその経験に至ったのか、取り繕わずに率直に話しましょう。その方が誠実さが伝わり、好印象につながります。
注意点②:自己PRの伝え方も評価対象である
ほとんどの方は、自己PRのエピソードというと「どんなネタを話すか」のみに意識が向きがちです。
一方で面接官は、エピソードの内容と同時に、その「話し方」を観て採用するか否かを判断しています。
なぜなら、エピソードの語り方に、人物像がにじみ出るからです。
たとえば、過去の失敗経験を問われたときに、
「上司が大変厳しい方だったので、提案がなかなか通らなかった」と伝えると、「失敗したときに、他者のせいにする人だ」という印象になりかねませんよね。
逆に「上司と事前の認識合わせが不十分だったため、提案がなかなか通らなかった」と伝えると「失敗したときに、自分の責任ととらえる人だ」という印象になるでしょう。
このように、「エピソードをどのように話すか」には、その人の考え方や性質が色濃く反映されます。
だからこそ、面接官はエピソードを聴いて採用の是非を判断するのです。
したがって、面接に臨む際は、自己PRを伝える予行演習を行い、自分の伝え方が面接官にどういう印象を与えるのかを理解しましょう。
まとめ:面接での自己PRは等身大の自分で臨もう
今回は、面接の自己PRの項目や上手に伝えるコツ・注意点を、ビジネスコミュニケーション能力の観点でご紹介しました。
ここまでお伝えしたことを踏まえてしっかり準備していただければ、あなたの魅力が十分に伝わりますので、面接通過率が格段に向上します。
是非、等身大の自分の魅力を存分にPRして、面接を成功させていきましょう!
💭 印象に残る「自己紹介」のポイントは、以下の記事からご確認ください
✅ まずは話すネタの準備からスタート
【保存版】印象に残る自己紹介の項目
✅ よりアピールできるよう、内容を作り込んでいきましょう
【保存版】心をつかむ自己紹介の作り方
✅ スムーズに伝えて、面接官からの評価UP!
転職面接での自己紹介をスムーズに進めるコツ