「やらなきゃと思いつつも、つい先延ばしにしてしまう」
「気付けば期限ギリギリになっており、いつも慌ててしまう」
こんなことはないでしょうか?
私たちは、先延ばし癖を、「今さらどうにもできない性格・才能」だと思いがちですよね。
しかし実は、人間心理でみると、先延ばし癖の本質的原因は「状況」にある、といえるんです。
どんどん行動を起こして急成長する人は、個人の性格・才能というより、単に「先延ばし癖にならない状況」に身を置いているからなのです。
本記事では、急成長したい人に向けて
- 先延ばし癖のある人とすぐやる人の差
- 先延ばし癖が生ずる状況パターン
- 急成長する人と、停滞する人の差
をご紹介します。
目次
1.先延ばしとは
今回説明する「先延ばし」とは、やった方がいいこと・やらなければいけないことを、先送りにしてしまうこと。
実は、先送り自体は、決して悪いものではありません。
ポイントは、「行動を起こす期限をはっきり決めず、とりあえず先送りしてしまう」こと。
「今忙しいから、また今度にしよう」
「余裕ができたらやろう」
「落ち着いてからにしよう」
このように、期限をはっきり決めずに単に先送りにしてしまうという課題について取り扱います。
2.「先延ばし癖のある人」vs「すぐやる人」の差
2-1.運命が分かれた、ある2人の物語
先延ばし癖のある人と、先延ばし癖がない(すぐやる人)にはどのような差が生まれるのでしょうか。
ここで、ある2人の人物をご紹介します。
1人目:Yさん
2人目:Kさん
2-2.すぐやる人と先延ばし癖のある人、格差は1000倍以上
2人の差は、なんでこんなに大きく開いたのでしょうか?
ここでポイントになるのが「継続と怠惰の複利法則」です。
継続と怠惰の複利法則とは、「毎日1%向上するか、毎日1%ずつサボって後退するか」によって大きな差が生まれる、というもの。
やるべきことを先延ばしにせず毎日1%ずつ向上した人と、先延ばしして毎日1%ずつさぼった人を比べると、365日後の両者の差は、実に1000倍以上にもなります。
急成長したYさんにとっての1日1%とは、何だったのでしょうか。
実は営業職であるYさんは、入社1年目のうちから1日10分~15分、提案スキルを体系的にコツコツ学習していました。
そして、1~2週間に1度、学んだ知識を反復練習していたのです。また、電話営業中も、学んだ基礎を常に見返しながら実践していました。そのため、同僚と同じ業務時間だったにもかかわらず、記録破りの業績を出したのです。
参考:【受講者の声】人生初の営業職、記録破りの新人賞を獲得「仕事楽しい」
一方で、同じ営業職のKさんは、先輩から教わる以上のことをせず、提案スキルを体系的に学ぶこともしませんでした。
そのため、毎回同じパターンでお客様に断られ、商談がさらに億劫になる‥‥という悪循環に陥っていたのです。そのため、努力して提案スキルを磨こうという意欲が少しずつ削がれていきました。
2人の成長格差をグラフに示すと、このようになります。意外と無視できないほどの差になっているのではないでしょうか。
冬木
※実はこのKさんは、何を隠そう、この記事を執筆している私です。今の人生に大きな不満があるわけではありませんが、「あのとき、先延ばしにせずにもう少し頑張っていたら、どうなっていたんだろう?」‥と思うことはたまにあります。
だからこそ、先延ばし癖を1人でも多くの方が克服できるようにと願いを込めて、この記事を書いています。
3.先延ばし癖のある人の特徴
「先延ばし癖のある人の特徴」として、よく言われるものは以下の通りです。
☑失敗に対する恐怖心が強い
☑完璧を求めようとする
☑物事をネガティブに考える
でも、本当なのでしょうか。
実は、人間の心理でひも解くと、先延ばし癖の本質的原因がみえてくるのです。
それが、以下の2つです。
人間心理①:単純緊急性効果人間心理②:曖昧性忌避
以下、順にみていきましょう。
3-1.先延ばし癖を助長する人間心理①:単純緊急性効果
人間には「単純緊急性効果」があり、時間制限があるだけで「重要なものだ」と錯覚して選んでしまう傾向にあります。
単純緊急性効果の例:コロナ太り・在宅勤務だと、外に出て運動しなきゃと思いながらも、目の前の仕事をつい優先してしまうその結果、通勤していたころに比べて体重が増えてしまった…という声も聞きますよね。
3-2.先延ばし癖を助長する人間心理②:曖昧性忌避
もう一つ、人間は「不確実な状況を避けようとする」性質があります。
経済学では「曖昧性忌避」と呼ばれています。
曖昧性忌避の例:・5千円の福袋を買うとき、「2万円相当の中身の見えない福袋」と「1万円相当の中身が見える福袋」なら、中身が見える方が魅力的にみえる
※正確には「曖昧性耐性(曖昧さに対する寛容度)」が問題です。個人差があり、曖昧性耐性が低い人は「情緒不安定になりやすく、環境変化を脅威に感じやすい」といわれています。(参考:現代行動科学会誌)
4.先延ばし癖が生じやすい3つのパターン
そして、一口に「先延ばし癖」といっても、単純緊急性効果と曖昧性忌避の濃淡によって、実は複数のパターンがあることが分かります。
【単純緊急性効果の度合】低)自分にとって本当に重要なことが見えている心理状態高)自分にとって本当に重要なことが見えていない心理状態
【曖昧性忌避の度合】低)やるべきことが明確で、迷いがない行動高)やるべきことが曖昧で、迷いが生じる行動
以上を組み合わせると、私たちが直面する先延ばし癖は、3パターンに分かれます。(下図の青色)
以下、順にみていきましょう。
4-1.先延ばし癖のパターン①:遭難中
自分にとって重要なことは見えているものの、「ハードルが高すぎて、向き合うのが億劫」「最初の一歩や先行きが見えず、躊躇してしまう」状態に置かれています。なかなか行動を起こせないため、課題解決が先延ばしになりがちです。
【遭難中の例】「あの人みたいに説得力をもって話せるようになりたいけど、どうすればいいか分からない…」「仕事をもっと早く片付けて家族との時間をとりたいのに、どうすればいいか分からない…」
先延ばしにしている自覚があるため、焦りと不安に圧倒されがちです。
自分よりも一歩前にいる人と自分を比較して自信をなくしたり、他人からの評価に過敏になりやすいのもこの状況です。
4-2.先延ばし癖のパターン②:消耗中
「今何をしなければいけないか」は明確に理解しているものの、自分にとって重要なことが見えていない状況での先延ばし癖です。
【消耗中の例】「To Doリストにはこなすべき仕事がぎっしり詰まっている。こなすことに精一杯で、自分の目標を考える余裕なんてない」
緊急性が高いことばかりに追われるため、充実感は感じるかもしれません。しかし、本当に重要なことを先延ばしにしているため、時間を浪費した気持ちになることが多いといえます。
また、「仕事や他人に振り回されている」という苛立ちも感じやすいでしょう。
4-3.先延ばし癖のパターン③:冬眠中
自分にとって重要なことが見えていないうえに、やるべきことも曖昧な状況での「先延ばし癖」です。
目の前のことに取り組む意義が見えないため、ついさぼってしまったり、手を抜いてしまったりしがちです。
【冬眠中の例】「なんだか仕事がつまらないし、何をしたらいいかも分からない‥‥SNSでもみようかな」
5.急成長する人と、停滞する人の差は「状況の選び方」
こう考えると、先延ばし癖は「本人の性格や才能」といった属人的な要素ではなく、むしろ「状況」という外的要因にあるといえます。
急成長する人は、状況の選び方が上手いのです。
冒頭で登場したYさんを覚えているでしょうか?
実は、彼は【疾走中】の状況に身を置いていた人だったのです。
自分にとって重要なことが見えているうえに、やるべきことも明確で迷いがない状態です。
集中して一つずつ着手し、達成感を得ていきます。また、自分の理想に近づいているという自信を感じやすい。他人の評価もあまり気になりません。
【疾走中の例】「よーし、あの目標に向かってまずはこれをやろう!」「他人は他人、自分は自分だよね!」
彼は「営業職で業績を出したい」という目標が明確でした。さらに、「提案スキルを挙げるには、こういうステップで学んでいけばいい」といったように、やるべきことも非常に明確だったのです。
一方で、2年たっても芽が出なかったKさんは、【遭難中】の状況に置かれていました。
営業で成果を出したい!という強い気持ちはあったものの、何をすべきか分からずただ時間だけが過ぎていったのです。
6.まとめ
今回は、急成長したい人に向けて
- 先延ばし癖のある人とすぐやる人の差
- 先延ばし癖が生ずる状況パターン
- 急成長する人と、停滞する人の差
をご紹介しました。
【先延ばし癖のある人とすぐやる人の差】
やるべきことを先延ばしにせず毎日1%ずつ向上した人と、先延ばしして毎日1%ずつさぼった人の差は、継続と怠惰の複利法則により、実に1000倍以上にもなる。
【先延ばし癖が生ずる状況パターン】
1.遭難中
2.消耗中
3.冬眠中
【急成長する人と、停滞する人の差】
急成長する人は、「疾走中」の状況に身を置いている。先延ばしせず、重要な取り組みに次々と着手できる。
停滞する人は「遭難中」「消耗中」「冬眠中」の状況に身を置いている。重要な取り組みを先延ばしし、時間が経っても成長できない。
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