こんにちは。コミュトレの冬木です。
「自分は、木を見て森を見ないタイプかも」
そう思うことはありませんか?
上司からも「リーダーとして、もっと高い視座で考えて」と言われるが、いつも目の前のことにとらわれすぎて本当の課題を見逃してしまう…。
しかし、視座とはそもそも何なのか?
結局、地頭の良し悪しの問題じゃないか?
このような悩みを抱える方は多いでしょう。
視座は天性の能力ではなく、適切な練習によって高められるスキルです。
今回は、視座と視野・視点の違いや視座が高い人と低い人の差、視座を高める練習方法を解説します。
視座を高めるメリットも解説するので、「視座を高めるって必要か?」と疑問に感じている方も、ぜひおよみください。
また、「コミュトレ」ではコミュニケーションの強み・課題が把握できる、無料セミナーを行っています。
視座を効率的に高めるのに役立つため、視座を高める必要性を感じた方は、ぜひ下記からお申し込みください。
目次
視座を高める とは?
視座とはなんでしょうか?よく聞く「視野を広げる」となにが違うのでしょうか。
突然ですが、問題です。
「トヨタ自動車(以下、トヨタ)の競合サービスを、すべて挙げてください」
こう聞かれたら、なんと答えますか?
多くの方が最初に思い浮かべるのは、ホンダや日産、テスラ、BMWなど国内外の大手自動車メーカーでしょう。
しかし、トヨタの競合は自動車メーカーだけでしょうか?
トヨタの競合をもれなく列挙する方法
視座と視野の違い
トヨタの競合を考える前に、トヨタはなにで勝負しているのかを整理しましょう。
トヨタの事業を挙げてください、と言われれば、多くの方は(図1)のように自動車製造を挙げるでしょう。
しかし、これがトヨタの事業全てを網羅しているでしょうか?違いますよね。トヨタは、自動車製造以外にも、「金融事業(自動車ローン等)」「住宅事業」など、さまざまなビジネスを展開していますよね。
さらに、金融事業では日用品や子供服など、生活に密着したサブスクリプションサービスを展開していました。(現在はサービスを終了)
そうなると、全体像は図2のようになります。
したがって、トヨタの競合はホンダや日産だけでなく、日用品のサブスクリプションサービスも含まれます。
視座を高めるとはこのように、目の前の「トヨタ車」だけを見るのではなく、一歩引いて「トヨタってそもそもどんな事業をやっているんだっけ?」と考えることです。
そして視座を高めた結果、「トヨタは金融業もやっていて、その競合はサブスクリプションサービスである」と気づくことが、視野を広げることです。
パルッサ
別の言い方をすれば、視座は「高さ」、視野は「面(領域)」の発想だポヨ!自分が今いる場所を地上から眺めるのではなく、展望台に上って眺めるのが「視座を高める」、その結果地上にいるだけでは気づけなかった町全体の景色に気づくことが「視野を広げる」ことだポヨ!
視座と視点の違い
ちなみに、視座と視点の違いはなんでしょうか?
視座が「高さ」だとすれば、視点は「点(テーマ、トピック)」です。
トヨタ自動車でたとえるなら、「事業」が視点です。展望台の例では、東西南北の中でも南側を向くことが視点にあてはまります。
どのような視点に着目するかによって、見える視野(領域)もガラリと変わると知っておきましょう。
たとえば、トヨタの競合を考える際、「事業」ではなく「車の移動目的」で考えると、(図3)のように分類できます。
移動目的ごとの顧客を考えれば、「旅行する人は、新幹線を使うこともある。だとすると、新幹線・飛行機も競合だ!」「気分転換するために愛車で近場を走る人だったら、自転車も競合だ!」と気づきます。
このように、視点を変えることで、視野を広げられます。
一方で、視点には高さの概念がありません。
視点だけに捕らわれていると、今度は「考えが狭い」と上司から注意されるおそれがあります。
そのため、まずは「視座を高める」ことが、木を見て森も見る人になるコツです。
視座が高い人・低い人の特徴
視座が高い人と低い人をよく観察すると、立ち居振る舞いや発言に差があることに気づきます。
ここでは例として、目標設定や発言の仕方に着目し、両者の違いを比べてみましょう。
- 目標設定の仕方
- 発言の仕方
ぜひ、視座が高い人の特徴を真似てみてください。
目標設定の仕方
視座が高い人は、「来期の足固め」も見越して、自身の目標を立てます。
一方で、視座が低い人は「今期のノルマ分の達成」までしか考えません。
また、視座が高い人が「チーム全体の目標達成」まで考えるのに対し、視座が低い人は「自分の数字の達成」だけを考えます。
発言の仕方
視座が高い人の発言は、「会社の事業リスク」や「投資対効果」まで考えられています。
また、チームの意見が偏っていると感じた場合には、自分の考えを通すよりも「チーム全体のバランス」を優先して発言します。
しかし、視座が低い人は「自分の利益」までしか、考えがおよびません。
そのため、「事業リスクを無視した自分にとってのやりやすさ」や、
「投資対効果の抜けた耳障りのよいアイデア」だけを追求します。
どちらが「仕事を任せて安心か」「頼れるチームメンバー・リーダーか」は、一目瞭然でしょう。
社会人が視座を高める5つのメリット
本章では、社会人が視座を高めるメリットを、5つ紹介します。
- 全体像を把握できることによる生産性の向上
- 新しい意外なアイデアの創出
- 目的理解によるモチベーションの向上
- 周りからの信頼の獲得
- リスクの予測による組織の安定性
メリットを理解し、視座を高めるトレーニングに励みましょう。
全体像を把握できることによる生産性の向上
社会人が視座を高めるメリットとして、全体像の把握による生産性の向上が挙げられます。
目の前の仕事をこなすだけでなく、仕事の背景や意味、上司の意図までとらえて進められるためです。
たとえば、視座の高い人は資料を作成する際、いつ・誰に・どのように使う資料なのかを考えて作成します。
顧客の性質に合わせた情報やデザインで構成された資料は、通常よりも高い成果をもたらすでしょう。
反対に、視座が低い人は仕事をただ終わらせるだけで、生産性の向上に期待できません。
新しい意外なアイデアの創出
新しい意外なアイデアの創出も、社会人が視座を高めるメリットです。
視座が高いと、自分の立ち位置にとらわれず、あらゆる立場や視点から考えられます。
「自分がリーダーだったら…」「顧客だったら…」と思考を巡らせ、自分の立場では思いつかないはずの、意外なアイデアを創出できるでしょう。
また、視座が低いとアイデアは、一部分の最適や個別の利益に偏ります。
事業や組織全体の利益につながるような、誰もが驚く意外なアイデアを創出するには、視座を高めるのが大切です。
目的理解によるモチベーションの向上
社会人が視座を高めるメリットとして、目的理解によるモチベーション向上も挙げられます。
目的理解とは、仕事が社会・企業・キャリアにどのように役立つのか、従業員自身が知ることです。
視座が高い人は、取り組んでいる業務が自社・自身の目標達成に、不可欠だと知っています。
そのため、仕事に意義や誇りを感じ、高いモチベーションを持って主体的に行動します。
業務内容の改善や効率化も自ら行うため、新しいアイデアの創出と合わさり、生産性の向上にもつながるでしょう。
周りからの信頼の獲得
周りからの信頼を獲得できることも、社会人が視座を高めるメリットです。
自分の業務以外にも気を配り、フォロワーシップを発揮するため、上司・部下問わず信頼を得られます。
また、顧客の立場から考えられると、顧客からの信頼も獲得できます。評判が高まり、社運を賭ける重要な業務にも抜擢されるでしょう。
反対に、視座が低い人は周囲に気を配れず、自分勝手に仕事を進めます。
周囲に迷惑をかけたことにも、フォローしてもらっていることにも気づけないため、何年かかっても信頼を得られません。
リスクの予測による組織の安定性
社会人が視座を高めるメリットとして、リスクを予測し、組織の安定性を向上させられる点も挙げられます。
リスクを予測できる理由は、さまざまな立場から状況を見ることで、今後発生する問題にいち早く気づけるためです。
リスクが最小限に抑えられれば、割くはずだった時間を業務に充てられ、組織の安定性が増すでしょう。
トラブルが起こってからしか対処できない人は、多くの時間と労力を無駄にしています。上司・顧客・経営陣の視点から、現状の課題を分析してみてください。
【社内評価が上がる】視座を高める7つの 練習法
視座を高めるのは、頭の良し悪しではなく、習慣です。そして習慣は、反復練習によって身につけられます。
本章では、視座を高める練習法を7つ紹介します。
- 役職者の責任範囲を理解する
- 上位役職者が重視する「数字」に触れる
- 上司の目線に立ったコミュニケーションをとる
- コミュニケーションのセミナーや講習を受ける
- 本や動画で独学する
- 興味のある幅広い社外のコミュニティに参加する
- あえて新卒の立場で物事を観察する
以下、順に見ていきましょう。
役職者の責任範囲を理解する
視座を高める第一歩として、「上位役職者」のポジションに立ち、彼らの責任範囲への理解を深めることが挙げられます。
これは、特に視座の「高さ」にピンときていない方におすすめの練習法です。
なぜなら、自分の立つポジションを上司に変えると、視座が自然と高くなるためです。
役職の上位・下位に優劣の差は存在しませんが、果たすべき責任や役割の差は存在します。
一般的に、上位の役職は「多くの関係者に対して、ビジョンや戦略など抽象度の高いレベルの情報を取り扱い、部下に進むべき方向を指し示す」ことが求められます。
一方で下位の役職の役割は、顧客や同僚など限られた関係者に対して、具体的なサポートや個々の問題の解決です。
視座を高めるときは、上記の図を参考に「上司は誰と普段関わっているのか?」「上司は、どの時間軸をみて仕事しているのか?」を考えてみてください。
それにより、自分自身の発言が如実に変わることを実感できるでしょう。
上位役職者が重視する「数字」に触れる
上司の多くは、戦略立案・監督を行う立場に就いています。そのような全体最適の視点を持つ人は、必ず「数字(データ)」を押さえています。
よく「ファクト(事実)ベースで考えよ」と言われませんか。
ファクトとは、第一に「数字」を指します。数字は、感情論抜きに現状を正しく把握するうえで欠かせない情報です。
したがって、数字を理解してはじめて、上位役職者と同じ目線でものを考えられます。
役職者ごとに見るべき数字は、以下になります。
立場 | 目的 | 見たい数字 |
社長 | 会社の経営状況を把握するため |
財務諸表
|
部門長 | 部全体の業績や生産性・目標達成度合を把握するため | 部全体の売上(利益率・コスト含む)
業績の年間推移 部のKPIとのギャップ |
チームリーダー | チーム全体の業績や生産性・目標達成度合・個々のメンバーの成長度合いを把握するため | 部全体の売上(利益率・コスト含む)
業績の年間推移 部のKPIとのギャップ 各個人の生産性 |
もちろん、どの数字が必要となるのかは、組織によって多少変わります。上記の表はあくまでも一般論です。
正確な数字の種類が知りたい方は、上司に直接質問をしてみましょう。
そして普段から、上司が重要視している数字に、できる限り触れてみてください。
上司の目線に立ったコミュニケーションをとる
視座を高める練習方法として、上司の立場に立ったコミュニケーションも大切です。
「自分ならこれの報告から聞きたい」「自分なら別の案を用意してから質問してほしい」と、普段から考えると視座も高まるでしょう。
また、年次が上がるほど、上司の目線に立ったコミュニケーションは重要になります。
弊社の個別無料コンサルティングで、お客様から以下のお声をよくいただきます。
「以前は上司の丁寧なフォローがあったが、年次が上がるごとに自分で主体的に動くことが求められている」
上位役職者の責任範囲を理解し、重要視されている数字を普段から見ていれば、同じ問題意識をもてるようになります。主体性も自然と生まれるでしょう。
しかし、コミュニケーションがともなっていなければ、自分と上司との考えがズレた際に大きなミスが発生します。
上司の評価を上げるには、成果だけでなく、普段のコミュニケーションで上司を安心させることも大切です。
上司に対する報連相を詳しく学びたい方は、こちらをご覧ください♪
コミュニケーションのセミナーや講習を受ける
視座を高める練習法として、コミュニケーションのセミナーや講習も挙げられます。
コミュニケーション能力を鍛えると、相手の立場に立った思考や受け答えが身につきます。
しかし、独学でコミュニケーション能力を鍛えるのは難しく、短期間で効果は得られません。
効率的に成長させるには、セミナーや講習を受けて、具体的なアドバイスをもらいましょう。
また、「コミュトレ」の無料セミナーでは、10万人のデータからコミュニケーションの課題を把握できます。
なぜ自身の視座が低いのかがわかれば、すべき行動も見えてくるでしょう。
本や動画で独学する
本や動画での勉強も、視座を高めるおすすめの練習法です。視座が高い人から知識を学び取り入れると、自身の視座も高まるためです。
ビジネス書・雑誌・YouTubeを探して、世の中に影響を与える実業家など、視座の高そうな人の話から学んでみてください。
しかし、自分がなりたい姿は人それぞれ違います。視座が高い人の中にも、考えが合わない人はいるでしょう。
そのため、多くの本や動画を見て、自分に合う人を見つけるのが大切です。自分の理想のロールモデルを見つけて、多くを学び取りましょう。
興味のある幅広い社外のコミュニティに参加する
視座を高めるおすすめの練習法として、幅広い社外のコミュニティへの参加も挙げられます。
違う人生を歩んできた多くの人と関わることで、新たな考え方を学べるためです。
しかし、視座が低い方は社外コミュニティにただ参加しても、有意義な結果は得られません。
社内コミュニティと異なり協力関係にない以上、利己的な考え方では、誰も話してくれなくなるだけだからです。
「他業種の人の考え方を知ろう」「高い視座を持つ人から学ぼう」と、目的意識をしっかり持って参加しましょう。
あえて新卒の立場で物事を観察する
あえて新卒の立場で考えてみることも、視座を高める練習法です。
新卒の立場は誰しも経験しており、上司・顧客の立場で物事を観察するよりも、簡単に実行できます。
継続していくと、他人の立場で考えるコツがつかめるでしょう。
また、その際は新人にとって、難しい・やりづらいことを探すのがおすすめです。
そして、なぜこれまで改善されてこなかったのかにも目を向け、事情を推察してみてください。
「チーム間のコミュニケーションの問題かな。なら話し合う時間が必要じゃないか?」と、自然と視野が広がるでしょう。
視座を高める方法を実践して 自信につなげよう
視座と視野・視点の違いや、視座が高い人と低い人の差、視座を高める練習方法を解説しました。
視座は頭の良し悪しではなく、反復練習によって高められます。
最後に、視座を高める7つの練習方法をおさらいしましょう。
【視座を高める練習法】
- 役職者の責任範囲を理解する
- 上位役職者が重視する「数字」に触れる
- 上司の目線に立ったコミュニケーションをとる
- コミュニケーションのセミナーや講習を受ける
- 本や動画で独学する
- 興味のある幅広い社外のコミュニティに参加する
- あえて新卒の立場で物事を観察する
ぜひ、視座を高めて、リーダーとしての自信につなげていきましょう。
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懸命に練習しても、自分に合った練習法でなければ、効果は感じられません。
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タグ:キャリア構築, 中堅・リーダー社員向け