「看護の現場で使えるコミュニケーションのテクニックが知りたい」
「上司・患者さんとのコミュニケーションに必要な能力は?」
このような疑問をお持ちの方は多いでしょう。
看護の現場では、リフレーミングやペーシング、SPIKESなどのコミュニケーションテクニックが役立ちます。
本記事では、看護師がコミュニケーションに課題を感じる原因や、明日から実践できるテクニックを紹介します。
よくある悩みと解決策も紹介するので、コミュニケーションで悩んだ経験のある方は、ぜひお読みください。
また、「コミュトレ」の無料診断セミナーでは、コミュニケーションの強み・課題が把握できます。
なぜコミュニケーションに苦手意識を持ってしまったのかや、自分の得意不得意が可視化されるため、今後のコミュニケーション能力の向上に役立ちます。
ぜひ、下記からお申し込みください。
目次
【目的】看護師にコミュニケーション能力が求められる背景とは?
看護師にコミュニケーション能力が求められる背景は、適切な処置・適切なケアのためです。
患者さんと密にコミュニケーションを取っていると、小さな変化に気づけるのはもちろんのこと、医師に伝えていない症状・悩みも打ち明けてもらえます。
そのような情報がなければ、正確な治療はできません。
また、適切な処置・ケアにはスタッフ間でも、コミュニケーション能力が求められます。
関係構築や情報共有ができていないと、緊急時の連携や患者さんの情報伝達にミスが生じるためです。
したがって、看護師には「情報収集」「雑談」「傾聴」「説明・説得力」など、さまざまなコミュニケーション能力が求められます。
看護師がコミュニケーションに苦手意識を持ってしまう3つの理由
本章では、看護師がコミュニケーションに苦手意識を持ってしまう理由を、3つ紹介します。
- スキルや知識不足から自信を持てずに話しかけられない
- 先輩看護師や患者さんが多いと気を遣ってしまう
- 業務が忙しくて話す話題の準備ができない
コミュニケーションを上達させるために、なぜ苦手意識をもっているのかを分析しましょう。
スキルや知識不足から自信を持てずに話しかけられない
看護師がコミュニケーションに苦手意識を持ってしまう理由として、スキルや知識不足による自信不足が挙げられます。
実力が足りない意識が強いと、相手の時間を奪うことや誤った発言をする可能性に、不安を感じてしまうためです。
特に看護師は他の仕事と異なり、トラブルが頻発するため仕事中は常に忙しく、誤った発言が人命に関わります。
余計に「戦力になっていないのに質問していいんだろうか?」「患者さんからなにか聞かれたらどうしよう」と、考えてしまうでしょう。
先輩看護師や患者さんが多いと気を遣ってしまう
年代が異なる看護師や患者さんが多いことも、コミュニケーションに苦手意識を持ってしまう理由です。
病院には老若男女幅広い世代がおり、それぞれで常識やコミュニケーションの方法は異なります。
普段通り接したにも関わらず相手を怒らせてしまうと、コミュニケーションに苦手意識が芽生えてしまうでしょう。
また、患者さんが抱える事情は、学校の友人や企業の顧客と異なります。
これまで通用していたコミュニケーションが通用しなくなるため、その違いも、苦手意識を高める原因です。
業務が忙しくて話す話題の準備ができない
コミュニケーションに苦手意識を持ってしまうのは、業務が忙しく話題を準備できない点も関係します。
雑談が苦手でも、ニュースやSNSをチェックして相手の興味がある話題を振れば、会話は弾みます。
しかし、業務が忙しいと話題を探す暇がありません。同様に、相手の興味も探れないでしょう。
せっかく話しかけても一言二言で会話が終わってしまい、コミュニケーションに苦手意識を感じてしまいます。
【明日から実践】看護師が使える5つのコミュニケーション技術
本章では、コミュニケーションに苦手意識を感じる看護師におすすめの、5つのコミュニケーション技術を紹介します。
- リフレーミング
- ペーシング
- バックトラッキング
- 傾聴
- SPIKES
どれも簡単に実践できるものなので、ピンときた技術はぜひ明日から実践してみてください。
リフレーミング
リフレーミングとは、悩みや問題のとらえ方を変えてあげることで、プラスの心理状態に変化させるテクニックです。
リフレーミングを用いると、一言二言投げかけるだけでも、患者さんの気持ちをぱっと明るく変えられます。
たとえば、「なんでこんな病気になったんだ」と悩む患者さんには、以下の声かけを行います。
- 身体が休ませてと言っている
- 疲れた身体をメンテナンスするチャンス
患者さんの心理状態は、行き詰ったところからこれからの道筋が見えるような状態へ、変化するでしょう。
このような声かけができると、患者さんからの信頼が得られます。
ペーシング
ペーシングとは話すスピードや声の調子、身振り手振りを相手に合わせて、安心感や親近感を得るテクニックです。
人は声のトーンや仕草が同じ相手への、警戒心を緩める傾向があります。
看護師には現場がピリついていたり、患者さんが緊張していたりと、相手に話しづらい場面が多々あります。
その際には、ペーシングを心がけましょう。
また、ペーシングで見るべきポイントとして、主に以下のものが挙げられます。
- 表情・顔の向き
- 身体の動きや姿勢
- 呼吸
- 声のトーン・ボリューム
- 話のテンポ
- 使っている言葉
ぜひ参考にしてください。
バックトラッキング
バックトラッキングとはオウム返しとも呼ばれる、相手が発した言葉を繰り返すコミュニケーション技術です。
ペーシングの一種で、相手に安心感や親近感を与えます。具体的なバックトラッキングの使い方は、以下の通りです。
【バックトラッキングを用いた会話例】
相手「昨日◯◯があって」
自分「◯◯があったんだ」
相手「うん。だから△△になっちゃって」
自分「△△になったの?」
上記のように会話を進めると、相手は無意識に「うん」や「そう」など、肯定を自然と何度も行います。
「受け入れられている」「尊重されている」と感じ、心を開いてくれるでしょう。
傾聴
傾聴とは、相手の話を積極的な姿勢で聞く、コミュニケーションに欠かせないテクニックです。
傾聴ができると、相手から話を引き出して、強固な信頼関係を築けます。
そのためには、以下の3つのポイントを意識してください。
- 相づちや質問をするなど、関心をもって聞く
- 否定せずに最後まで聞く
- 共感して理解する
相手の話が自分の考えと違っても否定せず、そのように至った背景を考えながら聞きましょう。
最後まで聞くだけでも、「この人は安心できる」「頼れる人だ」と、思ってもらえます。
反対に、傾聴できない人は「この人は自分とは違う」と思われ、心理的な距離が開いてしまいます。
SPIKES
SPIKESとは、悪い知らせを話す際でも、患者さんにきちんと伝えられる技術です。
具体的には、以下の順で患者さんと話します。
- Setting:説明環境を整える
- Perception:患者さんの現状の認識を知る
- Invitation:患者さんがどの程度知りたいのかを知る
- Knowledge:情報を共有・開示する
- Emotion:患者さんの感情に共感する
- Strategy/Summary:簡潔にこれまでの説明を要約し、今後の計画を立てる
特に、医療現場での悪い知らせは、伝え方次第で相手の人生を左右します。その立場に立ちたくないと思う看護師も多いでしょう。
しかし、SPIKESを活用すると、そのような場でも相手を尊重してきちんと話せます。
【上司に向けて】看護師に必要な2つのコミュニケーション能力
ここまで、明日から実践できる、看護師におすすめのコミュニケーション技術を紹介してきました。
本章では、看護師が上司に対するコミュニケーションで、どのような能力が必要とされるのかを紹介します。
- ディスカッションスキル
- フォロワーシップスキル
コミュニケーション能力を鍛える際の参考にしてください。
ディスカッションスキル
看護師が上司とのコミュニケーションで求められる能力として、ディスカッションスキルが挙げられます。
ディスカッションスキルとは、自分の意見・考えを、筋道を立てて論理的に話す能力です。
特に、齟齬なく端的に伝えたり、納得して行動に移したりしてもらう際に求められます。
ディスカッションスキルが低い看護師は、患者さんの状態を説明しても、上司にうまく伝えられません。
内容も端的にまとめられないため、忙しい中で話しかけると、上司をイライラさせてしまうでしょう。
フォロワーシップスキル
フォロワーシップスキルも、看護師が上司とのコミュニケーションで求められる能力です。
フォロワーシップとは、上司と信頼関係を構築し、主体的に上司・メンバーを支援する能力です。
たとえば、上司の発言や意思をメンバー全員に共有させたり、上司が誤っていると感じた際には提言したりします。
新人の方は、わからない仕事や間に合わない作業を、しっかり伝えることから始めましょう。
どこまでできて、どこからができないのかわかれば、上司も事細かに確認する手間が省けます。
【患者さんに向けて】看護師に必要な2つのコミュニケーション能力
上司に向けたコミュニケーションと、患者さんに向けたコミュニケーションでは、求められる能力が異なります。
本章では、患者さんとのコミュニケーションで、看護師に求められるコミュニケーション能力を2つ紹介します。
- 関係調整スキル
- 解読力スキル
足りていないと感じた方は、ぜひ鍛えてみてください。
関係調整スキル
患者さんに向けたコミュニケーションで、看護師に求められる能力として、関係調整スキルが挙げられます。
関係調整スキルとは、人間関係を良好な状態に調整するスキルです。
患者さんの小さな変化や本音を見抜くには、関係を密にする必要があり、そのためにも信頼関係の構築は欠かせません。
患者さんと信頼関係が構築できていないと感じる方は、相手の話を聞いて共感する傾聴や、安心感を与えるペーシング技術を見直してみましょう。
患者さん同士の衝突を防ぐ際にも、自分の意見を尊重してもらえる、関係調整スキルが大切です。
解読力スキル
解読力スキルも、患者さんに向けたコミュニケーションでは、看護師に求められる能力として挙げられます。
解読力スキルとは、言葉や仕草から相手の伝えたいことや、考えを汲み取るスキルです。
患者さんの中には本音や症状を隠す方やうまく伝えられない方、自分自身で気づいていない方がいます。
そのような時に解読力スキルが高い看護師は、なにを伝えたいのか汲み取れるでしょう。
言いたいことを汲み取れると、患者さんからの信頼も勝ち取れます。
親密な関係を築くためにも、ぜひ鍛えてみてください。
看護師のコミュニケーションのよくある悩みと解決策
本章では、看護師のコミュニケーションでよくある悩みと、解決策を3つ紹介します。
- 患者さんから本音を聞きだせない
- 上司に相談したいのに忙しそうで声をかけられない
- 感情の起伏が激しい患者さんとの接し方が難しい
自分にあてはまる悩みがあった方は、ぜひ解決策をお読みください。
患者さんから本音を聞きだせない
看護師のコミュニケーションでの悩みとして、患者さんから本音を聞き出せないことが挙げられます。
解決方法は、信頼関係を築くことです。
話を否定せずに最後まで聞き、話しかける際にはスピード・トーンを合わせましょう。
患者さんが本音を話さない時に、「なぜ本当の理由を話してくれないのか」などと、責めるような対応をしてはいけません。
一見どうでもよいことに見えても、患者さんにとっては重い理由があります。一緒に考える姿勢を見せて、ゆっくりと心を開いてもらいましょう。
上司に相談したいのに忙しそうで声をかけられない
上司に相談したいのに忙しそうで声をかけられないことも、看護師のコミュニケーションでよくある悩みです。
解決方法は、結論ファーストで簡潔にまとめることと、どの程度の時間が必要か伝えることです。
たとえば、「お忙しいところすみません。1分でいいので◯◯の使い方を質問させてください」と、伝えてみましょう。
終わりまでの時間や自分にして欲しいことがわかっていると、忙しい中でもストレスをあまり感じません。
反対に、いつ終わるかわからない話や、求められていることがわからない話にはイライラしてしまいます。
感情の起伏が激しい患者さんとの接し方が難しい
看護師のコミュニケーションでは、感情の起伏が激しい患者さんとの接し方で悩む方も多くいます。
解決方法は、共感を心がけることです。
患者さんがなにに対して感情を露わにしているのか、一緒に整理しましょう。
共感する前に取り成そうとすると、「ないがしろにされている」と感じて、余計に感情的な態度になってしまうためです。
病院に来る人の価値観はそれぞれで大きく異なり、精神的に不安定な方もいます。
時間がない中で対応するのは大変ですが、感情の起伏が激しい患者さんとうまく接するには、共感が欠かせません。
まとめ|看護師がコミュニケーションを鍛えるなら無料セミナーがおすすめ
本記事では、看護師にコミュニケーションが求められる背景や、実践できる技術を紹介してきました。
患者さんの些細な変化に気づき、適切なケアをするためにも、看護師には高いコミュニケーション能力が求められます。
コミュニケーションが苦手と感じる看護師は、具体的にコミュニケーションのどの部分が苦手なのか、把握しておきましょう。
「コミュトレ」では、コミュニケーションの強み・課題が把握できる、無料診断セミナーを行っています。
共感の得意不得意・傾聴の得意不得意など、1つ1つのスキルを数値で可視化できるため、自分が苦手とするコミュニケーション技術がわかるでしょう。
今後のトレーニングの指針となるため、少しでも興味がある方は、ぜひ下記からお申し込みください。