コミュトレを学習している方々からは、よく「前向きになれました」「ポジティブに考えられるようになりました」など、自分の内面が大きく成長したという声を多くいただきます。
今回、お伝えしたいのはこの『前向き』についてです。
前向きという言葉は皆さんにとっても馴染みのある言葉ではないでしょうか。
しかし『前向き』という言葉には、実は大きく分けて2種類の意味が含まれています。
ズバリ、『楽観的な前向き』と『ポジティブな前向き』です。
両者はよく混同されがちですが、実はまったく異なります。一体、何が違うのでしょう。
本当の前向きを理解すれば、今の能力や性格にかかわらず、誰でも前向きに生きることができます。
皆さんには『真のポジティブとは何か』ということを、お伝えしていきたいと思います。
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目次
楽観的とポジティブシンキングは全く別物
先程もお伝えした通り、前向きにも『楽観』と『ポジティブシンキング』といった2種類の意味があります。
それぞれ、言葉としては聴いたことはあったとしても、意外とその本当の意味を理解している方は多くないのではないでしょうか。
両者は、まったく似て非なるものです。
「どれほどの困難にぶつかっても、 最後にはかならず勝つという確信を失ってはならない。 そして同時にそれがどんなものであれ、自分がおかれている現実のなかで もっとも厳しい事実を直視しなげればならない」
この言葉は、ベトナム戦争で戦争捕虜となり、 約8年間(2174日)を収容所で過ごすこととなったアメリカ海軍、 ジェームズ・ストックデール中将の言葉です。
彼は、部下たちと必ず生きて帰るという思いを胸に過酷な拷問にも耐え、 捕虜側の責任者としてできるだけ多くの捕虜が生き残れるよう尽力をした人物です。
なぜ、結末がわからない状態の中でも、 彼は苦境に耐えて生還することができたのでしょうか。
ストックデール氏は捕虜時代の出来事について、 あるインタビューを受けたとき
「わたしは結末について確信を失うことはなかった。 ここから出られるだけでなく、最後にはかならず勝利を収めてこの経験を人生の決定的な出来事にし、あれほど貴重な体験はなかったと言えるようにする」
と非常にポジティブな回答をしていました。
その発言の一方で、耐えられなかったのはどういう人なのかという質問に対しては 「楽観主義者だ」 と答えました。
この一見矛盾した回答、これを『ストックデールの逆説』とよばれています。
「楽観主義者だ。 そう、クリスマスまでには出られると孝える人たちだ。 クリスマスが近づき、終わる。そうすると、復活祭までには出られると考える。 そして復活祭が近づき、終わる。つぎは感謝祭、そしてつぎはまたクリスマス。 そうやって失望が重なって死んでいく」
そう、途中であきらめてしまった方たちは、最初から「もう無理だ、助からない」と悲観的だったわけではありませんでした。しかし、「ポジティブ」でもなかったのです。
その理由は、現状から目を背けて、ただ希望的観測によって自分を安心させようとしていたにためです。
ストックデール氏以外の捕虜たちは、
「アメリカが今にも勝利し、クリスマスまでに助けにくるだろう。」 「1年、2年もすればこの収容所から出ることができるだろう」
と現実から目を背け、楽観視しているだけでした。「そんな簡単に出られるはずはない、長くつらい収容生活になるだろう」と覚悟していなかったのです。
そして、その叶うはずもない非現実的な理想が叶わなかったとき、彼らは絶望して、生きる気力を失ってしまったのです。
基本的に、人は自分にとって都合の良い現実だけを捉え、不利益を被る現実をなかなか見ようとしません。 嫌な現実を直視することは、どんな人にとってもつらいことだからです。
しかし、ネガティブな事実は無理矢理明るいことを考えても消えることはないのです。
楽観的に捉える癖をつけてしまうと、同じミスを繰り返したり、 問題が大きくなって返ってきたりすることもありますよね。
では、真にポジティブな人は、問題に対してどのように向き合っているのでしょうか?
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真のポジティブを生み出す「諦観」
本当の意味でのポジティブシンキングとは 、『事実を受け入れ、その中で出来ることを探す』という思考です。
どんな人であれ、トラブルや問題は避けて通ることはできません。しかし、問題が発生したのちの行動には、ポジティブシンキングを実践するか否かで決定的な差が生まれます。
ポジティブシンキングを実践する人は、目を背ける楽観的思考の人と違って、問題が解決するまでとことん向き合おうという覚悟をもっています。そして、問題の難しさや複雑さを受け入れ、そのうえで自分にできることを考え続け、試行錯誤を続けていくのです。
頭が良い人や性格が優れいる人ではなく、ポジティブシンキングをしっかり身につけた人が、常に問題を解決していくことができるのです。
このようなポジティブシンキングを実践しようとするとき、一番重要となる視点が 『諦観(ていかん)』ともよばれている第三者視点です。
諦観とは『ありのままに見つめる』ということを指します。
感情を抜きにして物事を受け止めさえすれば、 正しい対処はいくらでも見つけることができます。 この諦観を意識し、行動したことで成功した人は数多く存在します。
例えば、今年ロシアサッカーW杯で日本代表キャプテンを務めた、 長谷部誠選手もそのような経験が過去あったそうです。
それは、長谷部選手がドイツ・ブンデスリーガのヴォルフスブルクで選手だった頃の話です。
2008~2009年のシーズン中、イタリア代表のザッカルド選手が加入し、 先発から外れることが多くなった時期がありました。
スポーツ選手にとって自分の力不足を強く感じる瞬間の一つは、 先発から外れてベンチで試合を見ているときです。そして、 長谷部選手もそのような瞬間を感じたことでしょう。
しかし、長谷部選手は
ベンチで塞ぎ込んでいても何もプラスにはならない。 むしろ、監督からの印象が悪くなってしまう。 むしろ、ベンチに座っているときこそ、選手にとって大切な『頑張りどころ』だ
と考えたようです。
長谷部選手は先発にならずにベンチにいた時間を、 監督がどんな指示を出しているかを真横で見ることができる 絶交のチャンスだと捉えました。
そして注意深く観察した結果、監督は自分が想像していた以上にリスクの高いパスを嫌うという事実がわかりました。 実際に、リスクの高い行動をとった選手に対して 監督は声を張り上げて怒っていたことがベンチで何度もあったのです。
長谷部選手自身、 MFとして局面を一発で打開するパスを出したいという誘惑もありましたが、監督の意向をくみ取り、今までよりさらに確実性を重視してプレーをするように意識をしました。
これらのプレーを行っていたことで監督から認められ、先発に返り咲くことができたのです。 ベンチにいてふてくされているだけであれば、 おそらく状況を変えることはできなかったでしょう。
このときの長谷部選手は、 悲観的にも楽観的にも捉えることはしていません。
事実をしっかりと受け入れ 「じゃあ、どうすれば先発になれるのか?」ということを考えて行動をしていますよね。 このような本当の意味でのポジティブシンキングがあったからこそ、彼は名選手として活躍し続けられたのではないでしょうか。
問題が生じたときは、ぜひ「諦観」という概念を思い出してみましょう。
✅ 「ポジティブシンキング」に近づくためのポイントは、以下の記事でもご紹介しています
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まとめ:うまくいかないときほど「あるがままの事実」と向き合おう
いかがでしたでしょうか。
問題やトラブルが起こったときは、楽観的であっても悲観的であってもあまり問題解決にはなりません。むしろ、目の前の現実から目を背けずに、ありのままに物事を見つめ、 思考を前に進めていくことが重要です。
ありのまま向き合うことによって人は成長することができますし、そういう考え方をするから、物事を好転させることもできるのです。 その結果、どんな問題が生じようとも常に前向きでいられるのです。
諦観の思考を習慣付けることは、 センス・才能・性格関係なく誰でも身につけることができます。 自分自身を前向きに、かつ成長をしていくためにも ぜひ『ありのまま』を捉えて、今自分ができることを実行していきましょう。
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