言いたいことが相手にうまく伝わらずに悩んでいる方も多いでしょう。
実は、自分の意見を伝える力はトレーニングを積むことで、どのような人でも上達させることが可能です。
ただし、闇雲に場数を重ねるだけでなく、伝える力を構成する要素や伝え方のうまい人の特徴なども参考にしながらポイントを押さえたトレーニングが欠かせません。
本記事では、伝える力を鍛えられるトレーニング方法を5選や伝える力の具体的な解説などをご紹介していきます。
仕事やプライベートなど、さまざまな場面で物事をスムーズに進めるためにも、自分の意見を的確に伝えられるスキルを身につけていきましょう。
目次
伝える力を鍛えるおすすめのトレーニング方法5選!
まずは、伝える力を鍛えられる、おすすめのトレーニング方法を以下の5つの順番にご紹介します。
- 目的・ゴールを明確にする
- 話の「型」を活用する
- ポイントを強調する
- 視覚情報を活用する
- メタファー(喩え話・比喩)を使う
具体的なトレーニング内容も解説していきます。伝える力を鍛えたい方はぜひ参考にしてみてください。
目的・ゴールを明確にする
伝える力を鍛えるうえで、まず意識すべきは「何を伝えたいのか」の目的と「相手にどうなってほしいのか」、ゴールの明確化です。
話す前にこの二点をはっきりさせると情報が整理され、相手に響くメッセージを作りやすくなります。
例えば、会社のチームメンバーへ進捗を報告する際に、「共有」を目的とし、「メンバーに現状を把握してもらうこと」をゴールに設定すると、何を伝えるべきか話す内容が整理できます。
「相手にどうなって欲しいか」「自身が何を求めているか」といった最終地点から逆算して話の構成を考えられると、情報がシンプルになり相手に伝わりやすくなるでしょう。
話の「型」を活用する
伝える力を鍛えるには、話の「型」を活用するのもおすすめです。代表的な例に、PREP法があげられます。
PREP法は、結論(Point)、理由(Reason)、具体的な事例(Example)を述べて、最後に再び結論(Point)で締めくくるフレームワークであり、特にビジネスシーンでよく用いられる手法です。
上記のような構成で情報を述べると、受け取り手は話の論理的な流れが追いやすくなり、さらに要点をスムーズに理解できます。
このように、話の型の活用は、余計な情報を除いてもっとも伝えたい部分を相手に伝達できるためおすすめです。
ポイントを強調する
伝える力を向上させるには、シンプルにもっとも伝えたいポイントを強調する方法も効果的です。
ポイントを強調させるには以下の方法があげられます。
- 声のトーンやスピードを変える
- 間を長くしたり短くしたりする
- 重要なキーワードを繰り返す
例えば、伝えたい結論や重要な数字を話す際には、少しゆっくり話したり、普段よりトーンを上げたりするなどの工夫が考えられます。
また、「ここが重要です」「あらためてお伝えしたいのは〇〇です」のようにフレーズや言い回しを変えつつ、伝えたい情報を繰り返す方法も有効です。
上記のようなテクニックで聞き手の注意を引きながら話をすると、重要な情報を相手の記憶に残しやすくなるでしょう。
視覚情報を活用する
伝える力は言葉だけではありません。グラフや図、写真などの視覚情報の活用も効果的です。
例えば、プレゼンテーションで、伝えたい内容に合わせた適切なスライドの活用や、ホワイトボードの図を用いた説明などがあげられます。
また、IT業界のような専門的で難しい内容を相手へ伝えなければならない場合に、イラストやグラフなどを用いて伝える方法も、ビジネスシーンではよくみられます。
このような視覚情報は、相手の頭のなかの情報を整理して、聞き手がこちらの話に集中できる環境を構築する効果もあるため、伝える力の向上につながるでしょう。
メタファー(喩え話・比喩)を使う
複雑な内容や抽象的な概念を伝える際に有効なのが、メタファー(喩え話や比喩)を使う方法です。
相手が知っているものや身近なものに変換しながら説明すると、難解な内容も瞬時に理解してもらいやすくなります。
具体的なメタファーへの変換に以下のような例があげられます。
- システム開発のプロセス→家を建てる
- ビジネスの成長→植物が育つこと
上記のようなメタファーを使うと、聞き手は頭のなかで話を置き換えながら受け取れるため、理解しやすくなります。
メタファーの活用が上手になると、どのような内容の話でも相手に伝わりやすくなり、特に専門的な情報を伝える機会が多い人におすすめです。
伝える力とその構成要素とは?
続いては、伝える力を構成する以下4つの要素の詳細を順番に解説していきます。
- 構成力
- 発言力
- 言語化力
- 表現力
伝える力を鍛えたくても、どのようなスキルなのか漠然としていては鍛え方やトレーニングの方向性がみえません。本章を参考に、伝える力がどのような要素によって成り立っているのか、根本的な部分から理解してみましょう。
構成力
伝える力を構成する要素の1つに、構成力があげられます。
構成力とは、伝えたいメッセージを「論理的かつ分かりやすい順序で組み立てる能力」を指します。
どのような話でも、主語が抜けていたり、話の順序がバラバラだったり、結論が見えなかったりすると、相手には伝わりません。
反対に、話の構成さえ整っていれば、主張や結論が何か伝わるため、話の全体像をつかめます。
構成力は意見を伝えるスキルを構成する、大事な要素の1つです。
とはいえ、難しい構成は必要なく、先述のPREP法(結論→理由→具体例→結論)やSDS法(概要→詳細→概要)のような、さまざまな場面で活用されるフレームワークを活用すれば、シンプルで相手に伝わりやすい話を構成できます。
発言力
伝える力を構成する要素には、発言力もあげられます。
発言力とは、どのような状況でも、自分の意見や考えを、相手やその場にいる人たちへ自信を持って表現する能力です。
発言力のある人は、議論が白熱している会議でも、タイミングを見計らって自分の意見をその場にいる全員へ向けて的確に伝えられます。
どのようなタイミングで自分の意見を話せば伝わるか見極めるには、相手の話をじっくりと聞く必要があります。
傾聴力やヒアリング能力を高めつつ、自分の意見や考えがスムーズに浸透するチャンスを判断できれば、伝える力の向上にもつながるでしょう。
言語化力
言語化力も、伝える力を構成する要素の1つです。
言語化力とは、漠然としたイメージや思考、感覚を具体的で分かりやすい言葉に変換する能力であり、以下のような具体例があげられます。
- もっと頑張ります→売上を5%向上させるために、新規顧客へのアプローチ数を20%増やします
- この資料ななんとなく読みにくい→この資料は文字が小さくて見出しや改行が少なすぎるから読みにくい
上記のように、抽象的な事柄や概念を具体的な言葉へ変換して伝えられると、聞き手も鮮明に理解できます。
言語化力を鍛えてあいまいな表現を減らすだけでも、伝える力を向上させられるでしょう。
表現力
表現力も、伝える力の大事な構成要素の1つです。
ここでいう表現力とは、声のトーンや表情、ジェスチャー、間など、非言語的な要素を活用しながら自分の意見に感情やニュアンスを込める能力です。
上記の表現力の有無によって、同じ内容を話す場合でも、相手への伝わり方や印象は大きく変わります。
例えば、熱意を伝えたい時には声に抑揚をつけたり、重要なポイントでは少し間を取って相手に考える時間を与えたりします。
また、相手の反応を見ながら表情を変えたり、頷いたりすると、より共感を生み出すコミュニケーションが可能になり、さらに意見を伝えやすくなります。
表現力は、伝える力を左右する大事な要素のため、自分の意見を話す際に意識してみるとよいでしょう。
伝える力を持っている人の6つの特徴
続いては、伝える力を持っている人の特徴を以下の6つにまとめてご紹介します。
- 相手の理解度に話を合わせられる
- 伝えたい内容を明確に理解している
- 話の筋道を立てて論理的に話している
- 一方通行で話さない
- 相手の反応によって伝え方を変えている
- 非言語コミュニケーションに長けている
伝える力を向上させたいなら、伝えるスキルに長けている人の特徴を把握して真似するのもおすすめです。それぞれの特徴を順番にみていきましょう。
相手の理解度に話を合わせられる
伝える力を持っている人は、相手の理解度に合わせて話ができます。
例えば、技術的な内容を非専門家に説明する際は、身近な例え話を使ったり、図解を交えたりして理解しやすい内容へ変換します。
また、相手の反応を観察して、理解できていないと感じれば、話を途中で止めて確認を取ったり、別の角度から説明し直したりもします。
特に、製造業とコンサルティングのように、異なる分野間の取引では、お互いのビジネスへの理解度が異なるためコミュニケーションに齟齬が生まれやすくなります。
しかし、伝える力に長けている人であれば、相手の立場に立ち、相手のペースに合わせて情報を伝えるため、的確に内容を理解してもらえます。
伝えたい内容を明確に理解している
伝える力のある人は、自身が伝えたい内容を明確に理解しています。
どのような情報も、まずは自分自身が内容を理解して情報を整理しなければ、相手に伝わりやすい話を構成できません。
例えば、会議で新しい事業を提案する際に、「なんとなく売上につながりそうだから」のような抽象的な根拠では説得力に欠けます。
しかし、「この事業は市場が拡大し続けている領域であり、参入してくる企業も増えてきているため、競争が激しくなる前に地盤を作るべき」のように、話の書くとなる部分を明確に理解して伝えられれば、共感を得られるでしょう。
このような伝わりやすい主張には、まずは情報の整理が欠かせません。伝える力に長けている人は総じて、精度の高いインプットとアウトプットが効果的なコミュニケーションの基盤となっています。
話の筋道を立てて論理的に話している
伝える力に優れている人は、話の筋道を立てて論理的に話を展開します。
論理的な話の展開とは、筋道を立てて、原因と結果や前提と結論などが明確につながり、理解しやすい進め方です。
例えば、「来期は売上アップを見込んでいます」と漠然とした主張ではなく、「現在抱えている顧客の売上と新規で獲得した顧客数がいずれも増加しているため、来期の売上は〇〇万円を見込んでいます」のように、明確な根拠がともなっている場合です。
このように、伝える力のある人は、必ず自分の意見や主張に根拠を提示し、納得感のある伝え方を疲労しています。
論理的に話を展開したい場合は、PREP法(結論→理由→具体例→結論)やSDS法(概要→詳細→概要)を活用してみましょう。
一方通行で話さない
伝える力のある人には、一方通行で話さない配慮も特徴です。
コミュニケーションのなかで自分の意見を相手へ的確に伝えられる人は、話すテクニックに優れているだけでなく、相手の話に耳を傾ける能力にも長けています。
相手の話をしっかりと聞き、反応を示したり答えたりしていくことで話しやすい雰囲気作り、先方がコミュニケーションへ集中しやすい環境の構築が得意です。
これにより、相手はこちら側の話にも入り込みやすくなり、より自分の意見や主張を確実に伝えられるようになります。
また、双方向のコミュニケーションは、相手の理解度を確認しながら進められるため、誤解や認識のズレも防げるため、結果として、より確実な情報伝達が可能になります。
相手の反応によって伝え方を変えている
伝える能力のある人は、相手の反応を見ながら伝え方を変える対応力も備えています。
相手が理解できていない様子を見せた時は、より分かりやすい表現に変えたり、具体例を追加したりします。
また、相手が結論を急いでいる様子が伺えれば、簡潔にポイントをまとめて、より手短に話を展開していきます。
コミュニケーションを取る相手は千差万別であり、それぞれの性格から知識レベルなどもさまざまです。そのため、テンプレートのような会話をしていても伝わりづらいでしょう。
その点、伝える能力のある人は、表情や仕草、言葉などから相手の反応を敏感に察知して、最適な伝え方を選択できるため、的確に情報を伝えられます。
非言語コミュニケーションに長けている
非言語コミュニケーションの優秀さも伝える力のある人に共通する特徴です。
非言語コミュニケーションとは、表情、ジェスチャー、声のトーン、姿勢などの要素を用いた対話方法です。
例えば、重要なポイントを強調する際には、話し方に抑揚をつけたり、身振り手振りで視覚的に訴えたりします。
このような非言語コミュニケーションスキルは、言葉以上に強いインパクトを与え、相手の記憶に残りやすいコミュニケーションを実現しています。
メラビアンの法則で示されるように、コミュニケーションのなかで非言語的要素が占める割合は大きく、伝える能力のある人ほど適切に使いこなして、相手に伝わる会話を実現しています。
伝える力を高める3つコツ
最後に、伝える力を高めるコツを3つにまとめてご紹介します。
- プロの話し方から学ぶ
- 言いたいことを整理する習慣をつける
- 5W1Hを意識する
今すぐ取り組めるコツも紹介します。伝える力を向上させたい方はぜひ参考にしてください。
プロの話し方から学ぶ
伝える力を高めるには、話し方のプロから学ぶ方法がおすすめです。
身近な話し方のプロには、テレビのニュースキャスターやプレゼンテーションが上手なビジネスパーソン、人気YouTuberなどがあげられます。
話す情報のジャンルや話す場面は違えど、それぞれが目的やゴールを明確にしたうえで、ターゲットとなる相手に合わせた言葉遣いや話し方を意識しており、1つ1つの仕草が参考になります。
どのように言葉を選び、どのような間の取り方をしているか、声のトーンや表情、ジェスチャーをどのように活用しているかなど、細部に注目してみましょう。
また、印象に残った表現やテクニックは、実際に声に出して真似してみるのも効果的です。
プロの話し方をロールモデルにすると、自分の話し方の型ができあがり、日々の取り組みや改善点の発見にも役立ちます。
言いたいことを整理する習慣をつける
伝える力を高めるには、自分が言いたいことを話す前に徹底的に整理する習慣をつけましょう。
重要な会議やプレゼンテーションの前だけでなく、例えば日報やメールの作成、日常の会話でも、「何を伝えたいのか」「相手にどうなってほしいのか」など、目的とゴールを明確にします。
このような習慣をつけると、頭の中がぐちゃぐちゃのまま話し始める癖を直し、シンプルで分かりやすいメッセージを伝えるスキルが身につきます。
箇条書きを活用したり、ロジカルシンキングを練習したりしながら情報を整理する訓練をしてみましょう。
5W1Hを意識する
5W1H(When, Where, Who, What, Why, How)を意識する方法も、伝える力を高められるためおすすめです。
5W1Hに沿って情報を整理すると、以下の例文のように抜け漏れなく、かつ具体的に物事を伝えられます。
- When【いつ】今日の午前中に、
- Where【どこで】〇〇カフェで、
- Who【誰が】私が、
- Who【誰に】〇〇部長に、
- What【何を】Aプロジェクトの進捗状況と課題を、
- How【どのように】資料を使って説明した。
聞き手は状況を正確に把握し、誤解なく情報を受け取れます。
特に、相手が初めて聞く情報や、複雑な内容を伝える際には、5W1Hを意識すると伝わりやすくなります。
会議での発言や重要なプレゼンテーションのような特別な機会だけでなく、日頃の会話から5W1Hを意識すると習慣化して伝える力の向上に役立つでしょう。
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本記事では、伝える力のトレーニング方法や伝える力が優れている人の特徴などをご紹介しました。
伝える力は、日々の意識やフレームワークの活用、トレーニングなどを通して高められるスキルです。
今現在苦手意識があっても、日常のなかで取り組めるトレーニングから少しずつ試していけば誰でも伝える力を向上させられます。
ぜひ本記事を参考にして伝える力を高め、ビジネスやプライベートの充実に役立てていきましょう。
また、伝える力を効率的に鍛えるには、自身のコミュニケーション能力の長所と短所の把握が大事です。
改善点や優れているスキルが把握できれば、自分に適したトレーニング方法を導き出せます。
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