「もっと自分に自信をつけたい!」
こう思う方も多いことでしょう。
自信をつけるためには、自分が成長している実感が重要です。自分の能力が高まり、毎日少しずつでも前に進んでいることを感じられれば、自ずと楽しくなっていきますよね。
せっかく能力を高めていきたいのであれば、より効率的・効果的に成長実感していきたいもの。
以前の記事では、知識・運動技能・態度という3種類の能力について解説しました。
本記事はその記事の続きとして、運動技能を高める効率的なトレーニングの方法を、3つのポイントに絞ってお伝えしていきます。
【おさらい】運動技能について運動技能は、筋肉を使って、自分が思った通りに身体(口、顔、声、手、足など)を動かす能力を指します。例)・笑顔を意識しながら話を聴く・声に抑揚をつけながら話す・ブラインドタッチをする参考:「能力」って何?インストラクショナル・デザインに学ぶ「能力」の3種類
今後、自分を高めて自信をつけるときの参考にしてくださいね^^
※本記事でいう「能力」は、運動技能を指します。予めご了承ください。
目次
ポイント①:とにかく反復練習する
効率的にトレーニングするうえで、避けて通れないのが「反復練習する」ことです。
「継続は力なり」という言葉がありますが、反復練習する=継続して実行することの価値は計り知れません。
こういうと、「反復が大事だということは知っているよ」と思われるでしょう。
にもかかわらず、私たちの多くは継続できなくなるのでしょうか。
その答えは、「努力した時間に比例して、能力が向上していくだろう」と期待しているためです。
「やればやった分だけ目に見えて変わっていくだろう」と思うと、結果が伴っていないときに「これだけやっているのに、なんで結果がでないのか」「このトレーニングは意味がないのではないか」と気持ちがゆらぎはじめるのです。
ここで、人や物事はどのように成長していくのか、その一般的な軌道をみていきましょう。
能力は二次曲線的に向上する
能力の成長軌道を理解するヒントとして、「イノベーター理論」を見てみましょう。
イノベーター理論とは、米コミュニケーション学者であるエベレット・M・ロジャースによって提唱された、新商品や新サービスの市場浸透に関する理論です。
イノベーター理論によれば、ある新製品を市場に投入した場合、どれほど革新的で素晴らしい価値をもつものだったとしても、すぐに市場全体に浸透するわけではありません。大きく分けると、次の3つの段階を経ていくといわれています。
●最初は、「多少のリスクを冒してでも、新しい商品にアクセスしたい人(イノベーター)」および「流行に敏感で、いち早く取り入れたいと考えている人(アーリーアダプター)」のグループから関心が寄せられます。●次に、「リスクを回避しながらも、流行に乗り遅れまいとする人(アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ)」のグループに注目されていきます。●最後に「保守的で、新しいものよりも慣れているものを使いたがる人(ラガード)」のグループに浸透していきます。
ここで注目すべきは、各グループの割合です。
ロジャース氏いわく、最初の段階で興味を示す「イノベーター(2.5%)」と「アーリーマジョリティ(13.5%)」が市場に占める割合は合わせて16%程度。一部の人だけが知っており、普及には至りません。
しかし、時間が経過していくうちに、全ユーザーの6割強を占める「アーリーマジョリティ(34%)」「レイトマジョリティ(34%)」グループにまで到達すると、その製品の売り上げは爆発的に伸びます。
※余談ですが、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間を「キャズム」と呼び、これを超えることによって対象市場を独占する確率が格段に上がるとされます。
このように、製品の売り上げが成長する軌道は直線的ではなく、「ある一点を超えると大きく伸びる」という二次曲線を通ります。
人間の成長も同じです。勉強をしていると「最初はよく分からなかったが、勉強を続けていくうちに段々つながりが分かってきて、急に面白く感じるようになった」という話はよくききますね。
能力は、ある一点を超えたときに急激に伸びる性質をもつのです。
爆発的に伸びるための前提条件は「行動の回数」
能力を高めようと頑張っても、失敗することもあるでしょう。とはいえ、失敗するたびに投げ出していれば「何もできない人生」で終わってしまいますよね。
能力の伸びを実感するための前提条件として、絶対的に必要なのが「行動の回数」です。
多くの方は、何かに挑戦すると考えると、以下のような想像をしてしまいがちです。
「挑戦する(1回目)→成功する」
しかし、現実はこうです。
「挑戦する(1回目)→失敗する→挑戦する(2回目)→失敗する→挑戦する(3回目)→失敗する→挑戦する(4回目)→失敗する→挑戦する(5回目)→少し成果が成果が出る」
なので、あなたの周囲で「能力が高いな」と感じる方が、苦労せずセンス才能でやってのけているように見えたとしたら、それはほぼ幻想だと思ってよいでしょう。その方は、人が見ていないところで失敗し、そして改善活動を行っています。
エジソンは電球を発明するまでに1万回の実験に失敗しました。元フィギュアスケーター・オリンピック金メダリストの荒川静香さんも、特技の「イナバウアー」を習得するまでに2万回転んだといいます。
もちろんこの数字はやや極端な例です。しかし、私たち自身の過去を振り返ってみても、仕事で何かの技能を習得したときに、相応の経験数を積んだのではないでしょうか。
ですから、これから新しい能力を高めていく際も、「最初から目に見えた成果は出ないのは、ごく当たり前」と割り切りましょう。そして、正しい方法で反復練習を継続していくことが1つ目のポイントです。
では、反復練習するときにどのようなポイントを押さえたらよいのでしょうか?
それが、ポイント②(スモールステップの原則を守る)、およびポイント③(即時にフィードバックをもらう)です。
以下、順にみていきましょう。
ポイント②:スモールステップの原則を守る
本記事でいう能力、つまり運動技能は「単純な能力の組み合わせ」です。
例えば、自転車に乗れるようになろうと思ったら、「ペダルをこぐ」「サドルの上でバランスをとる」などの、1つ1つは単純な能力の組み合わせですよね。
それは、あなたがこれから高めていきたい能力も同様です。
そのため、能力を向上させるときは、スモールステップの原則を守ることが重要です。スモールステップとは、簡単で単純なことから少しずつ行うという意味です。
1つの単純な動作ができるようになり、それが十分慣れてきたところで、より達成水準を上げていきます。より速く、より正確に、より滑らかにその動作が再現できるよう、トレーニングを繰り返します。
スモールステップでトレーニングする例
例えば、「自信のある話し方」を身につけるとしましょう。
自信のある話し方は、複数の運動技能で構成されています。難易度が低いものから順に挙げると、たとえば以下のようになるでしょう。
【自信のある話し方を構成する運動技能】Lv.1笑顔を保ちながら話すLv.2語尾を言いきるLv.3ゆっくりと話すLv.4大きな声で話す
成長意欲が高い方だと、つい最初から「笑顔を保ちながら話す」と「語尾を言いきる」を一緒に実践しようと頑張りがちです。しかし、それだと意識すべきことが多すぎるので成功確率が低く、長続きしません。
そうではなく、
Step1:最初は笑顔を保ちながら話すStep2:笑顔を保ちながら話すことができたら、次は語尾を言い切るStep3:語尾を言いきることができたら、笑顔と同時に意識しながら話す
といったように、少しずつ実践の難易度をあげていきます。
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各ステップでは「やればできそう」レベルの挑戦をする
ポイント①で「最初はやっても結果がでない」「失敗が当たり前だ」とお伝えしました。そのため、トレーニングに失敗はつきものであることは間違いありません。
しかし、大きすぎる失敗は非常にリスクが高いといえます。
いきなり、自分の身の丈以上の難しい課題をこなし、失敗しながらチャレンジしていく人がいます。そうすると、失敗したときに恐怖心や自信喪失を感じてしまう恐れがあります。
一度負の感情をもってしまうと、それを取り除くのは非常に時間がかかりますし、結果として上達が遅れます。
「もう一度やろう」と思うためには、成功経験が欠かせません。そのため、トレーニングするときは「少し頑張ればできそう」というレベルに抑えることがポイントです。
ポイント③:即時にフィードバックをもらう
能力をトレーニングするときは、「すぐにフィードバックをもらう」ことが重要です。
例えば、話し方のトレーニングをしたら、すぐにその話し方に対して「何が良かったのか」を伝えてもらうようにしましょう。ここでのポイントは「行動をとってすぐに」というところにあります。
なぜ、すぐにフィードバックをもらうことが重要なのでしょうか。行動分析学の観点から考えてみましょう。
行動分析学にみる「即時フィードバック」の重要性
「どうすれば行動を変えることができるか」を研究する行動分析学に「強化」という概念があります。
強化とは、特定の行動の頻度が高くなることを指します。つまり、ある行動をとれるようになる(上達する)ということは、その「行動が強化された」と表現されるのです。
行動が強化される場合、その因子として非常に重要なのが「行動をとった後に生ずる現象」です。
例えば、笑顔を意識しながら話す練習をしたときに「今の笑顔、とても感じが良かったですよ」と相手役から褒められると、「この笑顔でいいんだな」「もう一度笑顔を意識してみよう」と感じますよね。
このように、私たち人間は、行動をとったあとに望ましい現象が生ずると、もう一度その行動をとりたくなるという習性をもつのです。
とはいえ、時間が経ってしまうと、どんなことを意識しながら行動していたのか、記憶が薄らいでしまうもの。
だからこそ、効果的にトレーニングするためには、実践が終わったら即座にフィードバックを受けることが重要となります。(目安では、1分以内と言われています)
まとめ:能力は、正しく反復練習することで高められる
今回は、もっと自信をつけていきたい方に向けて、効率的・効果的に能力を高めるトレーニングのポイントをお伝えしました。
運動技能をトレーニングする場合は、以下3点を押さえましょう。
ポイント①:とにかく反復練習するポイント②:スモールステップの原則を守るポイント③:即時にフィードバックをもらう
ぜひ、これからトレーニングする際の参考にしてみてくださいね。あなたの飛躍を心から応援しております!