30代後半~40代になると、部下の育成が主要な業務となる人も多いでしょう。
しかし、長らくプレーヤーとして仕事をしてきた中で、いざ部下育成を任されると、
「仕事の話はできるけど、それ以外はどうしたらいいか分からない…」
「自分なりに手をかけているのに、部下が思うように育たない…」
と悩んでしまう方も少なくありません。
上層部からのプレッシャーもある一方で、部下とのコミュニケーションもうまくいっていないという板挟み状態になってしまい、「プレーヤーの頃はまだ良かった」とつい嘆きたくなるときもありますよね。
しかし、部下を育成する指導力は、実は特別な能力でもないのです。
むしろ、正しい前提に立ったうえで、ちょっとした行動を継続的に実践しているかどうかに大きく左右されます。
そして、その「ちょっとした行動」とは、どれも今すぐ、そして誰にでもできるものばかりなんです。
こういった行動を、一度習慣にしてしまえば、部下に変化が生まれていきます。
少しずつ、でも着実に部下の表情が明るくなり、自信を取り戻していけば、「部下を育成できない」という大きなストレスから開放されていくでしょう。
この記事では、そういった部下育成に関する新習慣をご紹介していきます。
是非ご覧ください!
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目次
【前提】部下が自発的に動く状況をつくる
部下を育成する習慣についてお伝えする前に、まず押さえたいのが「部下が自発的に動く状況をつくる」というスタンスをとることです。
よく「部下を動かす」という言い方をしますが、実際のところ、人は他人に強制されたり動かされたりすることを嫌いますよね。ですので、よほどの師弟関係でもない限り、上司が部下を動かすことはできません。
では、部下を放置して成り行きに任せるしかないのでしょうか。
ここで1つ、部下育成のポイントをご紹介しましょう。それはズバリ、「部下が自ら成長していくきっかけや状況を作る」ことです。
「どんどん指導して、自分の思い通りに動いてもらおう」とするのではなく、部下自らが「頑張りたい、吸収したい、うまくなりたい」と自発的に動こうとする気持ちを阻まないことが大切です。
だからこそ、「部下のやる気がない」「部下がいうことを聞かない」と苛立ってしまったときは、「そもそもこの部下は今、自分の能力を最大限発揮できる状態にあるのか?」と考えてみましょう。
そのうえで、部下が自発的に動きたくなる状況作りに徹すると突破口が見えてきます。
では、部下の自発性を引き出すには、上司としてどのような行動を習慣化していくと良いのでしょうか。
次からご紹介していきましょう。
【部下の自発性を引き出す習慣①】自分から話しかける
1つ目の習慣は、「自分から部下に話しかける」ことです。
部下が自発的に動くには、上司であるあなたと良好な関係性を構築していることが必要ですよね。
とはいえ、部下と円滑なコミュニケーションをとるために雑談しようとしても、
「年が一回りも違う部下とは話が合わない」
「自分と部下の性格が違うので、盛り上げ方が分からない」
と戸惑うこともあるかもしれません。
実は、このような「感覚があまり合わない」という感情は、人としてごく自然なものです。
お互い育ってきた環境が異なれば、必然的に感覚は合わなくなるでしょう。
よって、円滑なコミュニケーションをとりたいからといって、無理に部下に合わせようとしなくても良いのです。
ただし、必ず押さえていただきたいのが「自分から話しかける」ということです。
人間は、知っている人から話しかけられると、「自分に関心をもってもらえた」と認識して安心します。
逆に、話しかけてもらえないと「関心をもってもらえていない」と認識します。
よって、上司の側から話しかけなければ、部下は「自分は上司から関心をもたれていない」と感じて、心の距離が遠ざかってしまうのです。
つまり、「話しかけない」という行動は、一見無難なようでいて、実は「盛り上がらない会話」以上にコミュニケーションにおけるダメージが大きいのです。
だからこそ、まず第1段階として「自分から話しかける」ことを念頭におきましょう。
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感謝+「強みを認識できる問いかけ」をする
「自分から話しかけなければいけない」と考えると、「じゃあ何を話そう…」とプレッシャーを感じる方もいるかもしれません。
ここでポイントとなるのが、自分から話しかけるといっても、必ずしも会話を盛り上げなくてはいけないという訳ではないということです。
ほんの一言二言の声がけでも、話しかけないことに比べれば大きな違いです。
部下に話しかけるときのコツは、まず自分から感謝の言葉を述べることです。
<例>
「●●してくれてありがとう、助かったよ」
「仕事が早くて助かる」
このように、積極的に感謝の言葉を述べる上司に対しては、どんな部下も必ず心を開きます。
そのうえで、部下が自分の強みを認識できるような問いかけができるとなお良いでしょう。
<例>
「いつも笑顔だから、チームのムードメーカーになってくれて助かるよ。普段から笑顔を心がけているの?」「誤字脱字がなくて安心できるよ。文章の正確さにこだわっているの?」
このように、部下に話しかけるときは単に感謝の気持ちを伝えるだけでなく、そこから1歩踏み込んで、その部下ならではのこだわりや気遣いを聞いてみましょう。
そういった質問に答えていくうちに、部下は「これは自分の強みだ」と認識することができます。
すると、仕事に対するモチベーションが上がるだけでなく、次からより一層その強みを発揮しようとするでしょう。
部下の自発性とは、このような過程から生まれるものなのです。
【発展編】 部下が思わず自分から動きたくなる、上手な仕事の頼み方とは?
【部下の自発性を引き出す習慣②】最後まで話を聴く
次に習慣にしたいのは、普段から「部下の話を最後まで聴く」ということです。
部下が自分の意見を述べたり相談してきたりするときに、つい途中でさえぎって話してしまっていませんか?
たしかに、上司であるあなたは、部下よりも経験や知識が豊富なので、話を最後まで聴かなくても結論が見えてしまうでしょう。
また、自分が忙しいときは、つい遮って話したくなってしまうかもしれません。
しかし、上司のこういった態度に、ほとんどの場合部下は萎縮してしまいます。
一方、最後まで聴くと、部下は「この人には分かってもらえる、話を聴いてもらえる」と安心することができます。
また、話している内に、その部下の中で自己解決できることもあるでしょう。
このように、最後まで話を聴くことには大きなメリットがあります。
ただし、ただ黙って聴くだけではなく、疑問点があれば、その場で優しく質問していきましょう。
このように、質問を交えつつ部下が言いたいことを最後まで聴くだけで、部下は安心し、やる気がみなぎります。
熱心に指導する上司ほど、部下の発言や考え方がずれているように感じると、「それは違う」と即座に訂正したくなるかもしれません。
しかし、まだ心の距離が十分に縮まっていないときは、少しこらえて最後まで話を聴いてみてください。
まとめ:部下育成のキーワードは「自発性」
いかがでしょうか。
今回は、部下育成が思うようにいかない上司の方に向けて、部下育成をスムーズに行うために、そもそも何を大事にしていけば良いのかをお伝えしました。
最後にポイントをおさらいしましょう。
1.【前提】部下が自発的に動く状況づくりに徹する2.【部下の自発性を引き出す習慣①】自分から話しかける、そのために感謝の言葉に加えて「部下が自分の強みを認識できるような問いかけ」をする3.【部下の自発性を引き出す習慣②】最後まで話を聴く
部下育成の鍵は「自発性」です。
上司が上から目線で教え込んで、無理やり部下を変えていこうとするのではなく、部下が自ら動きたくなる状況を作ることが、部下育成の成功を左右します。
今回ご紹介した習慣は、部下の自発性を引き出すうえで効果抜群ですので、是非普段の会話で意識してみてください。
自発性を引き出すメカニズムなどについては、別の記事でも詳しく取り上げる予定なので、お楽しみに!
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